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【開催報告】【2021.08.28】広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター (EVRI)」は,第89回定例オンラインセミナー「教科教育学・心理学・日本語教育学の視点からインクルーシブな学びを考える(3)国語科教育のインクルーシブ化に向けて」を開催しました

広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は,広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は,2021年8月28日(土)に,第89回定例オンラインセミナー「教科教育学・心理学・日本語教育学の視点からインクルーシブな学びを考える(3)国語科教育のインクルーシブ化に向けて」を開催しました。大学院生や学校教員を中心に77名の皆様にご参加いただきました。

「教科教育学・心理学・日本語教育学の視点からインクルーシブな学びを考える」シリーズでは,学びにくさを持つ子どもに既成の教科カリキュラムをいかに教えるかとともに,インクルーシブな社会の実現に向けて教育には何ができるかを考えています。

シリーズ第3回となる本セミナーは,教科「国語」(国語科教育)に焦点を当て,講演と実践報告の2部構成で実施しました。まず,講演では,果たして国語が多様性を包摂することばの学びの場になり得るのかについて,国語科教育の包摂的側面と排他的側面についての説明の後,国語科教育のインクルーシブ化を実現させるための2つ方向性:(1)国語科カリキュラムのインクルーシブ化と,(2)国語科授業のインクルーシブ化についての考察が行われました。次に実践報告として,高等学校における論評文の読解指導における合理的配慮や工夫に関して報告が行われました。

はじめに,司会の川合紀宗先生(広島大学)より,本セミナーの趣旨が説明されました。インクルーシブ教育をさらに推進する上で特別支援教育の側から教科の学びを考えた時に,ストラテジーに走りがちになり,教科の本質を我々が充分に理解しないまま子どもたちに指導内容を押し付けていないかどうかの再点検が必要な時期に来ています。一方で,「主体的・対話的で深い学び」実現のための重点的方策として,教科横断的に「見方・考え方を働かせる」ことが提起されていますが,国語科はその中心的役割を担うと考えています。そこで,インクルージョン×国語科教育研究の第一人者である原田大介先生から,理論と実践の在り方についてご講演いただき,その後,登城千加先生から,高等学校における論評文指導を基盤とした多様な学びの促進について話題提供いただくこと,これらによってインクルーシブな国語科の本質に迫っていく契機づくりにすることがねらいであることがセミナーの参加者全体で確認されました。

原田先生(関西学院大学)

登城先生(広島大学大学院生・現職教員)

まず,原田大介先生(関西学院大学)より「国語科教育のインクルーシブ化に向けて」と題してご講演が行われました。まず,ご自身のご経験や,国語科の考え方や,国語科という教科に内在する包摂可能性から,国語科教育に興味を抱かれた経緯についてお話しいただきました。一方で,国語科の課題として,インクルージョンの理念と親和性がある文言が示されているもののこれらの理論や実践が多様性の包摂に資するものには十分になり得ていないこと,またインクルーシブ教育の問題として特別支援教育の枕詞的な位置づけになっており,「インクルーシブ教育システム」という用語を研究や実践で活用しつつ包摂する範囲を障害当事者以外にも広げていくことでその用語の意味を広げていく重要性を述べていただきました。その上で,今後私たちが行うべきことの1つとして,学習指導要領の目標のどの部分が包摂的または排他的かを整理し序列化した上で,包摂的な部分については,理論と実践のさらなる精緻化をめざすこと(1つ目の方向),排他的な部分については,理論と実践を根源的に問い直すことで国語科カリキュラムのインクルーシブ化をはかること(2つ目の方向)をご提案いただきました。

次に,登城千加先生(広島大学大学院生・現職教員)より話題提供が行われました。まず,高等学校国語科には卒業後に自立的に社会参加するうえで有用な言語能力の育成が求められているにもかかわらず,読解力の育成,特に評論文については卒業後を見据えた読解の方略が指導されていないのではないかという問題意識が共有されました。そこで,先生からは,授業への「参加」,学習内容の「理解」を促す図式化されたワークシートを用いた学習活動,学習内容の「理解」と「習得」を促す話し合い活動を中心とした授業,学習内容の「理解」「習得」「活用」を促す明示的な方略指導を取り入れた授業づくり,これらの成果と課題についてお話しいただきました。

ウェビナーのQ&A機能を活用して行われた質疑応答では,「教科「国語」のインクルーシブ化を図る上で,他の教科には見られない「国語」の特徴的なポイントは?」「理論と実践の隔たりをどう乗り越えながら,国語科教育研究をしていけば良いか?」「カリキュラム・マネジメントの観点から,報告された授業実践で意識されたことは?」などの質問が出されました。

まとめとして,インクルーシブな「指導と評価の一体化」の実現には,「子どもなりの理由」の言語化を指導と評価の軸にすること,そこで言語化された内容に基づいて教師が個々の子ども理解を深めていくこと,この2点の重要性について確認されました。

今後もEVRIでは「Inclusive・日本語教育ユニット」ユニットを中心に,今後も多様な子どもたちがともに学び考える空間の在り方について引き続き検討してまいります。

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【問い合わせ先】
広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI) 事務室

E-Mail:evri-info(AT)hiroshima-u.ac.jp
​※(AT)は@に置き換えてください


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