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【開催報告】【2021.11.17】広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は,東広島市広域交流型オンライン社会科地域学習(伝とう)を実施しました

広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は,2021年度から,東広島市教育委員会と連携して,市内複数の小学校をオンラインで結んだ広域交流型オンライン社会科地域学習を開始しました。GIGAスクール構想の推進によって実現した子どもたちの「1人1台」端末と学校のICT環境を活用して,市内各地からの中継を交えながら,東広島市の地理・歴史・政治・経済・文化などについて対話的・双方向的に学びます。さらに,この学びを広島大学の教員と大学院生がコーディネートします。

本年度は,2021年6月の試行に基づいて,毎月1回2時間,テーマを決めて授業を行います。この企画が実現することで,小規模校と大規模校の子どもが,年間を通して,各地域のようすを比較したり交流したりしながら学びを深められるように工夫しています。
2021年11月17日に,東広島市内小学校3校4学級(原,高屋東,造賀)の4年生(51名)が参加し,「伝とう」をテーマとする授業を実施しました。2時間を通した学習課題は「「伝とう」って変わっていいの? 私たちのまちの伝とうの未来を予想しよう」に設定されました。

1時間目の導入は,給食の4枚の写真を見て古い順に並べかえるクイズから始まりました。児童はタブレットを使って回答しました。教室では,給食の変化をつぶさに眺めて,①主食・おかず・飲み物という組み合わせ,子どもには元気に育ってほしいという願いは「変わらない」ことを見いだすとともに,②品数の増加,栄養の高まり,洋風化,地産地消などの「変わっている」ところを見つけていきました。
1時間目前半では,歌舞伎や能など「伝統」芸能の具体を確認するとともに,その「伝統」とは「変わる」こと「変わらない」こと,どちらを意味するかについてイメージをタブレットで投票をしました。投票の結果,「変わらない」が多数派でしたが,「変わる」と主張する子どもも一定数いたため,その違いと理由を確認していきました。
1時間目後半では,広島県の芸能の一つ「神楽」が定期的に公演されている神楽門前湯治村からの中継を結びました。また安芸高田市役所の神楽専門家のお話を視聴し,①豊作を祈る思いは昔から「変わらない」こと,②しかし,その運営は信仰や祭礼の場から徐々に観光化・商業化が進み「変わっている」こと,③「変わっていく」ことで伝統を受け継ぐことができること,④「神楽」を残していくために,大都市や海外で講演したり,高校生の大会(神楽甲子園)を主催したりしていることなどを確認しました。最後に,伝統とは「変わらない」ことだから「神楽」は伝統とはいえないのか,それとも「変わり」ながら続いているからこそ「神楽」は伝統といえるのか,児童の「伝統」認識に揺さぶりをかけました。

2時間目の導入では,各学校で受け継がれている文化を相互に紹介し合いました。各学校から,とんどや地域のお祭り,伝説をもとにした劇,などが紹介されました。
2時間目の前半では,明治時代から「歌舞伎」が演じられている白市地区の高屋東小学校から中継を結びました。また白市で歌舞伎を引き継いでいる方のお話を視聴し,歌舞伎の演者は,①上方のプロから,素人の地域住民へ,そして子どもへと「変わっている」こと,②歌舞伎は2度「終わる」も,歌舞伎が好きで地域に残したいと願う人々の手でその都度「復活」してきたことを確認しました。
2時間目の後半では,自分たちの学校の文化が10年後どうなっているかを予想しました。各学校では,学校がある限り・記念の絵がある限り残るはずだ,自分たちもやって楽しいから残っていくはず,との予想と理由が発表されました。最後に,広島大学の川口広美准教授からコメントをもらいました。川口准教授は,①各学校には様々な文化があり,どの学校も上手に紹介できていたこと,②伝統を守るという気持ちを大事に思い続けてほしいこと,③伝統は守るだけが大事でなく,遊びたい・家族と過ごしたいなど色々な人の思いを大事にし,「何を残し,何を変化(変身)させていくか」を考えてほしいとお話されました。

2時間の学習を通して,「伝統」を変化と持続という視点から探究しました。「伝統」とは,昔からそのまま受け継がれたものではなく,携わる人々の手で絶えず作り替えられてきていることを学びました。
ご協力いただいた全ての関係者に御礼を申し上げます。

原小学校にて授業を進行する様子(草原教授

神楽ドームからの中継の様子(津田氏)

神楽の舞を観察する子どもたち

意見を他の学校に発表する様子

子どもに意見を聞く様子(草原教授)

高屋東小学校からの中継の様子(川上氏)

伝とうについてコメントする様子(川口准教授)

他校と交流をする様子

EVRIは,引き続きICTを活用した新しい地域学習のヴィジョンを提案し,それを教育関係機関と連携しながら企画・実施してまいります。

当日の様子はこちらをご覧ください。

プロジェクト全体についてはこちらをご覧ください。

【問い合わせ先】

広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI) 事務室

E-Mail:evri-info(AT)hiroshima-u.ac.jp
​※(AT)は@に置き換えてください


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