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広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は,2021年12月21日(火)に,第101回定例オンラインセミナー【HUGLI特別企画7・セミナー】「言語文化教育における詩の魅力」を開催しました。日本語教育関係者を中心に92名の皆様にご参加いただきました。
「HUGLI特別企画」シリーズは,広島大学型教育を世界展開することを目指すHUGLI(Hiroshima University Global Learning Institutes)構想の一環として行われています。
シリーズ第7回となる本セミナーでは,言語文化教育における詩の魅力について,2名の登壇者からの報告とそれに対するコメントをもとに,参加者とともに考えました。
オープニングトークの様子
趣旨説明を行う川口先生
はじめに,司会の川口隆行先生(広島大学)より,本セミナーの趣旨が説明されました。文学研究における詩の研究の現状と課題,国語教育・日本語教育における教材としての詩の現状と課題を整理したうえで,言語文化教育において詩を教えること/詩で教えることの意義についてセミナーの参加者全体で確認されました。
実践報告を行う樫本さん
実践報告を行う田井さん
その後,2名の登壇者から報告がなされました。まず,樫本由貴さん(広島大学大学院生)から「型を意識した俳句創作指導」と題して報告がなされました。俳句の定型詩としての特徴を踏まえた「詩としての力が強い言葉」を重要視した創作指導の必要性について、日本の高校生に対する具体的実践をもとにした報告がなされました。
次に,田井真聡さん(ダルマプルサダ大学/広島大学大学院生)から「知的想像力と相互理解力に培う詩の授業」と題して報告がなされました。高等教育での日本語教育において、相互理解力の育成を促すことができる教材として詩の有用性を論じ、その実証としてインドネシアのダルマプルサダ大学での授業実践報告がされました。
空想と想像の違いを説明する山元先生
両実践の位置付けについてコメントする永田先生
以上の発表を受けて,2名の指定討論者の先生からコメントをいただきました。まず,山元隆春先生(広島大学)からは,言葉や形式に注目して俳句を理解することが、言葉や形式を通した相互理解につながること,また、詩を用いた教育における「空想」「想像」の違いについて,「空想」はテキストと無関係になされるものであるが,「想像」はテキストとの対話でなされるものであるとの指摘がありました。
次に,永田良太先生(広島大学)からは, 詩の学習を通して日本語学習者にどのような力を習得させようとするのかを明確にしてカリキュラムの中に位置づけることや今回の実践を先行研究と関連付けて体系化することの必要性が指摘されました。また,詩の教育実践に携わる指導者をどのように育成・養成するかという問題も提起されました
ウェビナーのQ&A機能を活用して行われた質疑応答では,「日本語教育の教材として,どのような詩を選べばよいか」,「詩の解釈は日本語学習者の日本語力に制約されるのではないか」,「俳句にはどの程度の柔軟さが認められるか」といった質問が出されました。質疑応答を通して,言語文化教育における詩の魅力が再確認されました。
今後もEVRIは,インドネシアにおける海外交流研究拠点の活性化に向けて,引き続き活動してまいります。
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広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI) 事務室