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【開催報告】【2022.08.10】第115回定例オンラインセミナー「教育学の視点から戦争と平和の意味を問い直す―広島平和記念資料館のラスト・10・フィートのリデザイン―」を開催しました。

広島大学大学院人間社会科学研究科「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は、2022年8月10日(水)に、第115回定例オンラインセミナー「教育学の視点から戦争と平和の意味を問い直す―広島平和記念資料館のラスト・10・フィートのリデザイン―」を開催しました。大学院生や学校教員を中心に57名の皆様にご参加いただきました。

広島大学で開講された「戦争と平和の教育学」では、ヒロシマを取り巻く多様な語りを解体し、自らのヒロシマの再構築する「広島平和記念資料館のラスト10フィートのリデザイン」プロジェクトを行いました。本セミナーでは、「戦争と平和の教育学」の受講者が提案したリデザインの鑑賞とそれに対する意見交換を通して、「戦争と平和をなぜどのように教育するか」という問いに対する考察が行われました。

はじめに、司会の金鍾成准教授(広島大学)より、本セミナーの趣旨が説明されました。集合的記憶(Collective Memory)の政治性によって同じ出来事が異なる形で語られる現状が本セミナーの課題として設定されました。その後、異なる語りを持つ他者とともに生きる市民、すなわち他者の語りに開かれた市民を育成するためにはどのような教育が必要かを考えることの重要性がセミナーの参加者全体で確認されました。また、ヒロシマをめぐる語りの衝突を紹介するとともに、「戦争と平和の教育学」どのように受講者のヒロシマ語りの解体と再構築を支援したかも説明されました。

趣旨説明をする金准教授(広島大学)

次に、広島大学の学生によって、広島平和記念資料館のラスト10フィートのリデザイン発表会が行われました。それぞれの学びにもとづき、各班の学生たちは、なぜ、このように、広島平和記念資料館のラスト10フィートをリデザインしたかを説明しました。全ての班の発表では、ある出来事を理解する際に複数の視点を用いることの重要性、ヒロシマの悲劇の側面だけにこだわらずヒロシマを取り巻くより広い文脈(他国の人々、また日本のなかの多様なバックグラウンドを持つ人々はヒロシマをどのように理解するかなど)からヒロシマを捉えることの重要性、さらにヒロシマを含む世界の様々な悲劇をなくすために私たちは何ができるかを考えることの重要性が言及されました。具体的なデザインは、以下の写真の通りです。

作品の紹介をする学生

作品の紹介をする学生とレポートをする草原教授

学生による作品の説明をうけて質問をする草原教授

作品に込めた想いを説明をする学生

以上の発表を受けて、指定討論者の川口隆行教授(広島大学)からは、語りの解体だけではなく、言葉の解体も必要であることが指摘されました。例えば、「核兵器の非人道性」という表現がよく使われていますが、核兵器のみが非人道的なのか、他の兵器は人道的なのか、そもそも「核兵器の非人道性」という言葉は何を目的として使われているかなど、日常的に使われている言葉の意味を批判的に検討する必要性を言及しました。そうすることで、「戦争と平和の教育学」の受講者の広島平和記念資料館のラスト10フィートのリデザインがより豊かな意味を持つことになると提案されました。

「非人道性」をキーワードとして学生へ問いかけをする川口教授

また、ウェビナーのQ&A機能を活用して行われた質疑応答では、ラスト10フィートのリデザインをよりよくするため話し合いを通してそもそもヒロシマとそれを取り巻く平和の意味をどのように理解すればよいかに関する議論が行われました。また、「学習者が主体となる平和教育の在り方をうかがうことができた」のように、「戦争と平和の教育学」の実践と成果を参考にしながら、自らの平和教育を改善していきたいというコメントも共有されました。
今後もEVRIでは「戦争と平和をなぜどのように教育するか」という問いについて引き続き検討してまいります。

当日の様子はこちらをご覧ください。
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【問い合わせ先】

広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI) 事務室

E-Mail:evri-info(AT)hiroshima-u.ac.jp
​※(AT)は@に置き換えてください


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