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広島大学教育学部は、2024(令和6)年12月8日(日)に、「2024年度高等学校教員のための指導力向上セミナー」を対面・オンラインを併用して開催しました。
本セミナーの目的は、高等学校教育の現代的課題や教師の専門性を追究するための有益な知見を、教育行政・学校現場・大学のそれぞれの立場から提供し、それらを参加者が共有し討議することによって、高等学校関係者にとっての豊かな研修の場を提供することです。
本年度は、「高等学校と地域はどのように連携・協働すべきか?-学校の規模や立地、学力等の側面からの再検討-」をテーマとし、第1部では、「高等学校と地域はどのように連携・協働すべきか」についての基調講演を行い、引き続き第2部では、「芸北分校を核とした共学共創コミュニティの実現-地域における学校との連携・協働の意義とは-」、「吉舎地区における日彰館高校の取組~「衆縁和合」による「縦のつながり」と「横のつながり」~」、「新しい普通科「地域科学科」とは何かを探究する」についての実践報告を行いました。
基調講演では、講師の独立行政法人教職員支援機構 理事長 荒瀬克己氏から、「高等学校と地域はどのように連携・協働すべきか」について、新採用で着任した当時の京都市立伏見工業高等学校での日々、そして教諭・教頭・校長として導かれた京都市立堀川高等学校でのご経験をもとに、視座の違い・認識・移動・転換・拡幅、抽象の梯子などの観点から解きほぐされ、学べば成長し、わかると笑顔になる生徒の姿を信じて、地域を学び、地域で生きていくべく、生涯にわたって他者と協働できる自立した学習者への準備に我々はいかに関わっていくのか、その一つの視座を指し示していただきました。
実践報告1では、広島県立加計高等学校 芸北分校の森 大悟先生より、過疎化の進む山間部という逆境を逆手に取り、自然豊かな地の利を活かしたカリキュラムや活動を、地域との繋がりの中で実践し、生き生きとした生徒を育むのみならず、町の活性化を促進するという好事例についてご紹介いただきました。教員同士の連携、行政や大学との関わり、SNSを通じた効果的な広報活動など、具体的な方策について貴重な情報を共有することができました。
実践報告2では、広島県立日彰館高等学校の校長 今川俊文先生より、吉舎学区における保小中高の連携(縦のつながり)、PTAや同窓会、地域イベントなどの協力を通じた連携(横のつながり)による取組についてご紹介いただきました。また、その取組による生徒の学びの質の向上や、地域連携の緊密化、日彰館のブランディングの確立などの成果についても共有することができました。
実践報告3では、長崎県立松浦高等学校の校長 舟越 裕先生より、地域と連携した教育活動、新しい普通科(地域科学科)が目指すものについて報告をいただきました。地域と連携した教育活動として、「まつナビ・プロジェクト」の取組をご紹介いただくとともに、普通科改革においては、生徒の多様な能力・適性、興味・関心等に応じた学びの実現が重要であることや、あわせて教員のスキルアップも必要であることを確認できました。
指定討論では、本学の滝沢 潤教授より、それぞれ異なる環境の中で成果を挙げている各学校に対し、参考になる部分を発表者間で共有するよう投げかけがありました。これに対して、教員のスキルアップ、教員の意識変革、取組の「ウリ」などに関することが挙がりました。これらをもとに、学校の特色を生かすことや、地域のリソースを学校の教育活動にどう生かすかといったことについて議論を深めました。また、教師の指導力向上という観点から、日々の授業に関して質問があり、各学校からは、各教科の授業に加えて地域課題に関する授業も行っていること、各教科と総合的な探究の時間をつなぐような工夫を行っていることなどが述べられました。
【日時】2024(令和6)年12月8日(日)13時00分~16時30分
【会場】広島大学教育学部(対面・オンラインの併用)
【テーマ】「高等学校と地域はどのように連携・協働すべきか?-学校の規模や立地、学力等の側面からの再検討-」
【主催】広島大学教育学部
【共催】広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)・広島大学文学部・広島大学理学部・一般社団法人尚志会
【後援】文部科学省・広島県教育委員会・広島市教育委員会・東広島市教育委員会
【内容】
■開会行事(13時00分~13時10分)
総合司会(木下博義)

開会挨拶(松本仁志副学部長)

間瀬茂夫教育ヴィジョン研究センター長
■第1部基調講演(13時10分~14時40分)
基調講演:「高等学校と地域はどのように連携・協働すべきか」
独立行政法人教職員支援機構 理事長 荒瀬克己

基調講演の様子①

基調講演の様子②
■第2部パネルディスカッション(14時50分~16時30分)
〇実践報告1:
「芸北分校を核とした共学共創コミュニティの実現-地域における学校との連携・協働の意義とは-」
広島県立加計高等学校 芸北分校 教諭 森 大悟

実践報告1の様子
〇実践報告2:
「吉舎地区における日彰館高校の取組~「衆縁和合」による「縦のつながり」と「横のつながり」~」
広島県立日彰館高等学校 校長 今川俊文

実践報告2の様子
〇実践報告3:
「新しい普通科「地域科学科」とは何かを探究する」
長崎県立松浦高等学校 校長 舟越 裕

実践報告3の様子
〇コメント(指定討論)指定討論:滝沢 潤
〇質疑応答

指定討論・質疑応答の様子①

指定討論・質疑応答の様子②

指定討論・質疑応答の様子③

指定討論・質疑応答の様子④
【参加アンケートの結果】満足度98%

■参加者の声(抜粋)
・実際に行われている事例を基に地域との連携・協働を紹介していただき、地域との様々な関わり方があることを学び、自身の視野が広がった。地域の特色を考え、それを生かして連携・協働していかなければならないことを考え直す機会になった。
・貴重なお話やご意見、各学校での取り組みを知ることができ、自分の教育観を見直すことができた。今回学んだことを自分が専門とする教科ではどのようにできるのか、生徒への指導ではどのように活かせるのかを考えていきたい。
・地域連携を高校で扱うことが難しく、生徒にとって学びが深まらないことが多いように感じていたが、どのような部分に課題があるのかを以前より明確に知ることができた。
・今回のセミナーで、これまで多くの現場での経験や研究を重ねて来られた先生でも、答えの出ていないことが多いのだと分かった。教員である間ずっと、自分の視座や教育観を構築しアップデートし続けていく必要があると考えることが出来た。
・聴く側が話し合う場面が多く、答えが複数ある問いに様々なアプローチから生まれる意見を共有する機会になった。
・来年から教員として働く上で、生徒とどう接するべきか、地域と連携するために自分に何ができるか少しイメージができた。
・高等学校と地域との連携がなぜ必要なのかという点について理解することができた。
・基調公演や県外の高校での取り組みについて聞くことで今後どのように地域連携を計っていけばいいか少しイメージが湧いた。
・具体的な事例を学べて、自身が高校生の時もこのような地域との活動があれば地元に目を向ける機会がもっとできてよかったのにと感じ、地元の人口を増やしたいと考えているのでその点で教育が大切だということを改めて感じることができた。
・教員の本質を問うような授業であり、先輩方の深い知見を得ることができたとともに、自分達の世代とのギャップを認識できた。
・基調講演やパネルディスカッションだけでなく、アフターセッションで情報交換や旧知の人との近況報告ができた。