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広島大学大学院人間社会科学研究科「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環として、「デジタル・シティズンシップ・シティ:公共的対話のための学校」プロジェクトに取り組んでいます。
南の徳之島空港
北の利尻空港
2025年11月19日(水)、広島国際空港株式会社(HIAP)の協力の下、北海道から鹿児島まで、全国各地の小学校5・6年生,計19校(27学級498名)が参加して広域交流型オンライン学習を実施しました。参加校は、広島県東広島市(郷田小、高美が丘小、中黒瀬小、福富小、豊栄小、河内小)、同竹原市(東野小、荘野小、仁賀小)、北海道利尻富士町(利尻小)、同北見市(中央小)、同釧路町(別保小)、鹿児島県徳之島町(神之嶺小、亀津小、手々小、花徳小、母間小、亀徳小、山小)です。「私たちのまちの空港の役割を考える」と題して、立地や規模の異なる3つの空港(広島、利尻、徳之島)を比較しながら、ヒトやモノの移動における空港の役割を認識し、その未来について提言することを目指しました。授業全体の進行は広島大学の草原和博教授が担当し、各教室の進行は担任が務めました。また、本時は特別ゲストとして、広島空港、利尻空港、徳之島空港の各現場で働く職員の方々にオンラインでご参加いただきました。
なお、HIAPは、広島空港を「学びの拠点」とした学校教育への貢献と地域創生をめざされており、「広島空港 学びの拠点プロジェクト」の一環としてご協力いただいております。
昨年度に続く3回目の企画となりました。
授業の冒頭、数百キロ離れた教室同士がオンラインでつながり、画面越しに手を振り合う和やかな雰囲気でスタートしました。
まず、自分たちの住む地域がどのような輸送手段を利用しやすいかを確認。スプレッドシートに、新幹線、高速道路、大きな港、空港などの有無を入力していくと、陸路・海路・空路の選択肢が多い地域(広島など)と、海路と空路が生命線である島嶼部(利尻,徳之島)という、参加校の置かれた環境の大きな違いが可視化されました。
この結果を踏まえ、草原教授から「新幹線も高速道路もある広島の学校の皆さん、広島空港はいらないのでは?」「船も使える利尻島や徳之島の学校の皆さん、空港はなくても大丈夫では?」という、空港の存在意義を根本から問う投げかけがなされました。 空港があることを「当たり前」と捉えていた多くの児童にとってはこの問いかけが揺さぶりとなり、本時の探究の動機付けがなされました。
広島空港
徳之島空港
利尻空港
展開の前半は、ヒトを運ぶ役割に焦点を当て、3つの空港を客観的なデータで比較しました。 まず、画面に映し出された空港の写真がどこのものかを当てるクイズからスタート。雪に包まれた利尻空港、南国情緒あふれる徳之島空港、そして山間を切り開いて作られた巨大な広島空港と、外観だけでも大きな違いがあることに気づきました。
続いて、各空港の担当者の方に、リアルタイムで質問を投げかけました。利用者数、1日の便数、外国行きの便数、滑走路の長さなどのデータが出揃うと、子どもたちはその違いに驚き、「広島空港の滑走路は、利尻や徳之島の倍近くある!」「利尻と徳之島は外国行きの便がゼロだけど、広島は国際線がたくさんある」といった発見が次々と発表されました。これらの比較を通して、都市部の拠点空港と、島々の生活を支える生活路線としての空港という、それぞれの異なる役割と重要性が浮き彫りになりました。
次に視点を「モノ」に移しました。「空港から運んでいるのは『ヒト』だけである。○か×か」というクイズに対し、ほぼ全員が自信を持って×と回答。続いて提示された貨物の写真(新鮮な魚介類、精密機械の部品、南国のフルーツなど)が、どの空港から出荷されたものかを予想しました。
その後、中継先の広島、徳之島の空港職員の方から、コストのかかる飛行機で運ぶ理由について、「新鮮なうちに届けたいから(迅速性)」「軽くて値段が高いものだから(高付加価値)」「急いでいるから(速達性)」と、航空輸送の特性について説明をいただきました。
ここまでの学習を踏まえ、3つの空港それぞれの役割をピタリと表すキャッチフレーズを考案しました。それぞれの地域特性と空港の役割を見事に捉えており、理解の深まりが確認できました。
(手々小 5-1)
・島民の生活を支え豊かにする徳之島空港
(花徳小 5-1)
・20万人を仕事・病院・観光で運ぶぞ
・船とともに がんばっている徳之島空港
(郷田小 5-1)
・人だけでなく荷物なども運べるみんなから頼られる広島空港
(中黒瀬 5-1)
・人と自分たちの生活に大事な物を運び、ワールドとつながるスペシャルな広島空港
(母間小 5-1)
・船の代わりに、より速く
・観光客を招く、信頼される
(中黒瀬小 5-3)
・国外国内どこまでも、人も部品も鯉も運ぶよ!小さくて高価な物運び
(山小 5-1)
・人だけじゃない!フルーツと元気を運ぶ徳之島空港!
・人だけじゃない!南国フルーツと太陽を運ぶ
(Ch2)
・いつでも貴方の求めるものをそこに
(中黒瀬小 5-2)
・海外にも高い・小さいものを運ぶよ!広島空港
・たくさん使うよ徳之島・利尻空港
(神之嶺小 5-1)
・もっと来て来て徳之島空港
・島民を安全に運ぶよ徳之島空港
(竹原市立東野小 6-1)
・新鮮なものが海外にも早く届ける、魅力いっぱい広島空港!
(高美が丘小 5-1)
・車の部品も安心・安全、空の運び屋広島空港
(河内小 5-1)
・人も荷物も運べて外国にもつながる広島空港
(荘野小 5-1)
・早くて安全!外国にも行けるよコイに恋した広島空港
(高美が丘小 5-3)
・安全安心に色んな人や物を全国・世界各地へ運ぶ、暮らしを支える広島空港!
(仁賀小 5-1)
・国内・海外と人や自動車部品をつなぐ空港
(北見市立中央小 5-1)
・利尻においで、きれいな景色や美味しい食べ物があるよ
(亀徳小 5-1)
・島に一つの安心・安全眺めがきれいなこだか
(高美が丘小 5-2)
・何便もでて便利で楽!スピードせいみつで全国へ 広島空港
(福富小 5-1)
・いろんな場所に、人も、荷物も運べる!便利すぎる!広島空港
(別保小 5)
・生活に欠かせない!日常的に使える利尻空港
(利尻小 5-1)
・プロペラ機で欠航しづらい利尻空港
・利尻の観光に欠かせない利尻空港
・札幌にいくのに欠かせない利尻空港
・船より速くいける利尻空港
・利尻山が見える利尻空港
・景色が美しい利尻空港
・利尻のお土産がほうふな利尻空港
(豊栄小 5-1)
・全国や世界に、物や多くの人を運ぶことができる広島空港
(郷田小 5-2)
・世界とつながる広島の水産業と工業と観光の要広島空港
また、広島空港からは、税関や航空管制に関わる職員の方のお仕事も紹介されました。航空管制官の方の英語での模擬管制、税関の方の寸劇に子供たちも大盛り上がり。空港が「国境」としての機能も持っていることを学びました。
航空管制官さん
これは持ち込みできませんね。。。
税関職員さん
授業の後半は、空港の未来について考えました。各空港の担当者へのインタビューでは、データだけでは見えないリアルな課題が語られました。「新幹線がライバルになっている」「利用者が戻りつつあるのは嬉しいが、人手不足が心配」「もっと観光客に来てほしい」といった、現場ならではの切実な「お困り・お悩み」でした。
これらの課題に対し、子どもたちはグループに分かれ、解決案を検討しました。
利尻・徳之島空港では、「滑走路を長くして、より多くの便や大型機を受け入れられるようにする。」「直行便を増やす。」「CMやSNSでの情報発信やマスコットキャラクターを活用して観光客を増やす。」、広島空港では、「飛行機の運賃を下げる。」「駐車場料金を安くしてリピーターを獲得する。ポイント制やスタンプラリーで利用回数に応じて割引する」「アニメや漫画とのコラボや、チラシ配布などで広報を強化する。」など、それぞれの空港の特性に合わせた柔軟なアイデアが出されました。
草原教授は、子どもたちが当初考えていた空港の役割との違いに言及し、「他の輸送機関と比較した際の飛行機の強み」や「さまざまな産業との連携による新しい貨物輸送の可能性」について示唆し、授業を締めくくりました。
今回の企画は、広島国際空港株式会社(HIAP)をはじめ、利尻空港、徳之島空港の関係職員の皆さまのご協力により実現しました。また、空港近隣の自治体(利尻富士町、竹原市、徳之島町)の小学校にも多数ご参加いただき、盛り上がりのある授業となりました。
今後もEVRIは、学校、自治体、企業と連携したプロジェクトを積極的に実践してまいります。東広島市以外の機関からのご参加も歓迎いたします。ご関心がございましたら、ぜひお問い合わせください。
広島大学EVRI-SIP運営オフィス
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掲載日 : 2026年03月25日
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