鈴木 由美子 理事・副学長(教育・平和担当)
2019年に、1905年の開校以来初の女性校長として広島大学附属中・高等学校に赴任したのが、管理職としての第一歩でした。2023年からは、広島大学理事・副学長(教育・平和担当)を拝命し、大学の管理運営に関わる仕事をしています。
振り返ってみると、研究職に就いてから最初の10年ほどは自分の研究の進展が関心事で、管理職になることなど考えてもいませんでした。ですが、20年、30年たってくると、自分が所属する組織への貢献も考える必要がでてきます。私は、道徳教育を専門としており、理論と実践の往還を行う研究の必要上、公立小中学校で、研修講師をしたり講演を引き受けたりすることが多く、管理職の先生方や教育委員会の方々と、学校経営についていろいろと話す機会がありました。そのたびに経営哲学や人間哲学を学ぶ必要性を感じ、経営者として優れた方々の著書を読んで勉強してきました。
これらの経験が、管理職になったときの心構えやマネジメント、リーダーシップの取り方に役立っていると思いますし、人間哲学を説く経営者の生き方、考え方は、大変参考になっています。研究と直接関係がないように見えることでも、多くの方と出会い、様々な考え方を知ることは、管理職としてのものの考え方にプラスになるように思います。多様な業種の方々と積極的に交流する機会を持つことをお勧めします。
私はフォロアーシップがリーダーシップを育てると思っています。いただいた仕事は何であれ引き受けて、まずフォロアーシップを身に付けることが肝要と思います。管理職の仕事は、自分一人でできる仕事ではありません。多くの方に「やっていただいて」成り立つ仕事です。感謝の心とお互いへの敬意をもって仕事にあたることで、「あの人のためなら」と進んで仕事をしていただけるようになる。そういう人間であろうとすることが求められるように思います。人間性を磨くというのは簡単なことではありませんが、そうありたいと願い、学び続けることが大切だと思っています。
私自身は教育学が専門だということもあり、人材育成に関心を持っており、人を知ること、人を育てること、そのために組織はどうあるべきかなど、日々考えながら仕事に携わっています。研究者として培ってきたことは、管理職の仕事にもつながっているように思います。女性研究者の皆さんが、気負うことなく自然な気持ちで管理職につき、人材育成や組織の管理運営に携わってくださることを期待しています。
(2024年12月掲載)
*所属・職名等は掲載時点のものです。