「超新星はまん丸ではない」:すばる望遠鏡による研究成果

すばる望遠鏡で観測した超新星の画像例で、2つの黄線の交点にあるのが超新星 SN 2005nb

すばる望遠鏡で観測した超新星の画像例で、2つの黄線の交点にあるのが超新星 SN 2005nb

 

東京大学IPMUの前田啓一特任助教、広島大学宇宙科学センターの川端弘治助教、および東京大学の野本憲一教授、田中雅臣氏(博士課程後期在学; 日本学術振興会特別研究員)などからなるグループが、すばる望遠鏡を用いた観測による研究結果を米国科学学術誌 Science に発表しました。写真は観測した超新星のうち一つの3色合成画像で、母銀河 UGC 7230中に爆発から約200日経った超新星 SN 2006nb が写っています。かみのけ座の方向、距離約3億光年のかなたにあります。以下はIPMUで開かれた記者会見の要旨です。

太陽の約10倍以上の質量を持つ大質量星は、その生涯の最後に超新星爆発という大爆発を起こすことが知られていますが、その爆発の仕組みはまだわかっておらず、現代天文学での重要な未解決問題のひとつとされています。この研究グループは、すばる望遠鏡を用いて爆発から約200日以上経った15個の超新星のスペクトル(光を色別に細かくわけたもの)を得て、理論モデルに基づいた計算結果と比較し、「超新星はどれもまん丸ではなく、つぶれた形の爆発をしている」ことを初めて確認しました。今回の研究により、近年提案されている「丸くない爆発」の理論とが実際の超新星爆発の仕組みの有力な候補であることが確認されました。また、通常の超新星は、超新星の中でも激しい爆発を示す極超新星に比べてつぶれの度合いが小さい(=球対称に近い)こともわかりました。極超新星はガンマ線バーストと呼ばれる別種の爆発現象を伴う場合があることが判明しており、今回の研究成果が超新星およびガンマ線バーストの研究全般に影響を与えるとも期待されます。

より詳しい解説は、以下を参照下さい。

 

・東京大学数物連携宇宙研究機構(IPMU)の解説ページ

(日本語)  (英語)


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