マーレー・ロバート

 

マーレー・ロバート (MAHLEY Robert W.), M.D., Ph.D.

米国グラッドストーン研究所 上席研究員、創設者・名誉所長
カリフォルニア大学サンフランシスコ校病理学教授

マーレー氏はグラッドストーン研究所の名誉所長および上席研究員であり、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の病理学教授でもある。全米科学アカデミー、全米科学アカデミー医学研究所、アメリカ芸術科学アカデミー会員。メアリービル大学で学士号、バンダービルト大学でM.D.およびPh.D.を取得。

1971年、Mahley博士は国立衛生研究所の国立心肺血液研究所(NHLBI)に入所、1975年にNHLBIの実験的動脈硬化症研究所(Laboratory of Experimental Atherosclerosis)の相対的動脈硬化症・動脈代謝部門(Comparative Atherosclerosis and Arterial Metabolism Section)長となる。4年後、グラッドストーン研究所創設のためにリクルートされる。

マーレー氏はグラッドストーン研究所の所長として、循環器疾患、HIV/AIDS、アルツハイマー病を含む神経疾患を専門とする3研究所から構成される組織の設立と発展を担ってきた。2010年、30年務めたディレクター兼所長職を退き、上席研究員として自身の研究に注力している。マーレー氏の研究は、心疾患やコレステロール代謝、直近ではアルツハイマー病における、アポリポ蛋白(アポ)Eに焦点をあてている。マーレー氏が明らかにしたアポEの構造と機能についての理解は、アポEの変異型であるアポE4と、アルツハイマー病やその他神経変性疾患発症との関連性についての研究の飛躍的な発展につながった。最近では、アポE4構造を、神経保護作用を持つアポE3/アポE2に類似したものに「修正」を行う一連の小分子を発見。今後、アポE4関連の神経疾患患者に対する治療に繋がる可能性がある。

さらに研究所において、卓越性、誠実性、そしてチームワークといった核となる価値観を促進してきた。グラッドストーン研究所は、世界屈指の研究機関としてのみならず、若い研究者の優れた育成の場としても認知されている。大学、医科大学および研究施設を対象にThe Scientist誌が行った調査で、グラッドストーン研究所は、「ポスドクにとって最も働きがいのある職場」(Best Places to Work Postdocs)ベスト3に4年連続で選ばれている。

備考:マーレー氏は、2012年ノーベル生理学・医学賞受賞者の山中伸弥氏(京都大学iPS細胞研究所所長・教授)のアメリカ時代の恩師であり、モットーであるVW(Vision and Hard Work) はマーレー氏の教えであることは有名。


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