第3回 法科大学院を修了されたみなさんへ

 みなさんは、広島大学大学院人間社会科学研究科実務法学専攻(法科大学院)が定める所定の単位を取得され、本日、本法科大学院を修了されました。これにより、法務博士(専門職)の学位とともに、司法試験の受験資格を取得されました。誠におめでとうございます。
 専門職学位課程である法科大学院は厳格な修了要件を定めていますので、みなさんは、入学してから修了するまでの間、厳しく地道な努力を積み重ねられたものと推察いたします。教職員一同、たゆまない努力に敬意を表しますとともに、心からお祝い申し上げます。

 みなさんは、司法試験に合格できるだけの専門的学識及びその応用能力を修得されているものと認定されましたが、授業やゼミを通じ、多くの先生方やご学友から献身的な指導・支援を受けられたことも容易に想定されます。すべての教職員は、みなさんが高度専門職業人として社会的・国際的に活躍されることを期待し、応援しています。こうした支援・応援を力に変え、7月に実施される司法試験でも結果を残せるよう、さらに研鑽を重ねてください。

 令和5年司法試験から在学中受験が可能となり、昨年より多数の受験者を収容する試験会場が準備されています。志願者増加が見込まれる司法試験に合格するためには、試験の内容や各自の理解度を客観的に分析した上で、残された3ヶ月あまりの期間を最大限に活用できるよう計画的に準備することが効果的といえるでしょう。
 とりわけ初めて司法試験を受験される方には、経験則に基づいた準備が難しいでしょうから、試験の内容や各自の理解度に関する十分な情報を入手し、そうした情報に基づいて計画的に準備してください。担当教員に対する苦手領域の質疑や、リーガルフェローの先生の経験に基づくアドバイスも有益といえますし、学外の専門的機関にアドバイスを求めることも効果的といえます。十分な情報を入手することなく、先入観に基づいて行った判断には、様々なバイアスが掛かっていることに留意してください。

 オンラインで授業を行い、マスクを着用しなければ会話もできなかった希有な経験は過去のものとなりつつあります。ポストコロナに向けて新しい常態が定着しつつある一方で、気候変動は激化し、戦争による激動が世界秩序を危機に陥れつつもありますから、「平和を希求する精神」のもとで、高度専門職業人として自由で平和な国際社会の構築に貢献しようとされるみなさんに対する期待は、ますます大きいものとなります。
 こうした期待に応えて当初の目標を実現できるよう、いっそう精進を重ね、高度専門職業人として社会的・国際的に活躍されることを祈念し、はなむけの言葉とさせていただきます。
 本日は、誠におめでとうございました。

令和5年3月23日 広島大学法科大学院長 周田憲二


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