第7回 法科大学院を修了されたみなさんへ

 みなさんは、広島大学大学院法務研究科・人間社会科学研究科実務法学専攻(法科大学院)所定の単位を修得したことにより、本日、本法科大学院を修了され、法務博士(専門職)の学位を取得されました。誠におめでとうございます。
 広島大学が新制大学として創立75周年を迎え(最も古い前身校である白島学校の創設から数えると150周年となります。)、法科大学院創設20周年の節目を迎える今年、本法科大学院は17名の修了生を送り出すことができました。法科大学院の厳格な成績評価を経て修了することができたのは、厳しく地道な努力の賜です。教職員一同、みなさんのたゆまない努力に敬意を表します。

 本法科大学院は、カリキュラムを変更し、授業の内容及び方法に一層の工夫を加えて改善に努め、私たち教員は、リーガルフェローの先生方とともに、法科大学院に求められる専門的学識及びその応用能力の涵養に努めて参りました。そして、令和5年司法試験において、昨年度修了生8名のうち5名が初回受験により合格し、既修コース修了生では5名中4名が初回受験により合格しました。今年の司法試験では、みなさんのさらなるご健闘が期待されます。

 現代社会における法的リスクは高度化・複雑化し、法曹人材に対する需要は質的にも量的にも拡大を続けています。法科大学院修了生に対する実務からの期待はますます大きくなっています。
 わが国では、デフレーションからの脱却により失われた30年を取り戻すことが期待されています。次世代を担うみなさんには、変革のスピードが加速する社会情勢の下で、自信を持って社会を先導することが求められます。法曹専門職に求められる知識や能力は、今後、産業構造や就業構造の変革に伴いさらに高度化し複雑化するでしょう。みなさんには、そうした変化に応じて継続的に研鑽を積み、常に適切な法的サービスを提供することが期待されます。

 みなさんの前途洋々たる船出を心からお祝い申し上げますとともに、こうした期待に応えて当初の目的を達成できるよう、いっそう精進を重ね、法曹専門職として社会的・国際的に活躍されることを祈念し、はなむけの言葉とさせていただきます。
 本日は、誠におめでとうございました。

令和6年3月18日 広島大学法科大学院長 周田憲二


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