Vol.31 「英語は手段にすぎない、その先に目を向けて」
名前: 波多江 千紘
所属: 総合科学部国際共創学科 3年
株式会社ダイクレ様 冠事業基金によるご支援により、広島大学短期交換留学(HUSA)プログラムへ参加。
ヴィアドリナ欧州大学(ドイツ)へ2024年10月~2025年3月まで留学。
派遣先大学について
ヴィアドリナ欧州大学は、ドイツの最東端に位置し、キャンパスの隣にある橋を渡れば徒歩でポーランドに行けるほど国境に近い場所にあります。その立地から、ドイツ人だけでなく、ポーランドをはじめとする多様な国籍の正規留学生が多く在籍しており、想像以上に国際的な雰囲気を感じました。そのような環境だったため、日本人である私がマイノリティーであることを意識することはなく、みんなの輪にとても入りやすく、馴染みやすかったです。
キャンパスの隣にある橋
留学中に学んだこと
留学中、「英語はあくまでも1つのツールでしかない」と身をもって痛感させられる場面が多くありました。日本では、英語は1つの特技として評価されることが多く、私自身も流暢に英語が話せる日本人を見ては、尊敬の目を向けていました。しかし、ドイツ留学では英語が母語ではないにも関わらず、生徒全員が英語を話せて当たり前の環境が何の疑いもなく存在していました。そのような環境下では、「英語を話せるかどうか」は重要ではなく、それよりも「どのような考えを持っているのか」「この意見についてどう考察するのか」といった、人としての深い部分を問われているような印象を受けました。この経験から、英語を完璧に話せるようになることを目指すのではなく、「英語を使って何をしたいのか」「自分は何に興味があるのか」をよく考えるようになりました。
また、まずは行動してみることの大切さも強く感じました。私はもともと自分の英語力にまったく自信がなく、失敗を恐れて英語を使う場面やイベントを避け、貴重な機会を逃していました。しかし、留学という限られた時間の中で、どれだけ多くの経験を積めるのかを意識して行動するようになった結果、英語に自信はなくても、クラスメートと一緒に食事をしたり週末のパーティーに参加したり、旅行に行ったりと、失敗を恐れず行動し、楽しむことができるようになりました。
もちろん、楽しいことばかりではなく、辛いこともありましたが、それらに一つずつ挑戦し乗り越えるたびに、自分の成長を実感できるような留学生活となりました。
将来の展望
将来の展望について、まだ具体的には決まっていませんが、世界中の人と関わる仕事に就きたいと考えています。そのためにも、自分が興味を持ったことに対して常に学び続け、知識や経験を広げていきたいと思っています。
私はもともとドイツの歴史に関心があったため、ドイツを留学先として選択しました。しかし、実際に現地で生活してみると、想像以上に多くの移民が暮らしていることに驚かされ、「なぜドイツ人よりも移民を見かける事が多いのだろう」という疑問が生まれました。その疑問をきっかけに、関連する講義を受講したり、ドイツ人の学生と実際に話してみたりと、自分なりに情報を集めました。その結果、アラブの春※の際に移民が急増し、当時のメルケル首相が積極的に受け入れたことが大きな要因だと分かり、理解を深めることができました。今後もこのように、疑問に思ったことはそのままにせず、知ろうとする姿勢を大切にし、将来の展望を実現するために学びの幅を広げていきたいと思っています。
※2010年末から2011年にかけてアラブ諸国で起きた民主化運動の総称(外務省 2014 年版 政府開発援助(ODA)白書 参照)
寄付者へのお礼
この度はご寄付をいただき、誠にありがとうございました。
私は20年間海外経験がなく、飛行機にすら乗ったことがない、いわば留学とはまったく無縁の人生を歩んできました。しかし、今回いただいた奨学金のおかげで、夢であったドイツ留学に行くことができました。本当に、感謝しております。
私はこれまで海外経験がなかったため、英語力が周りと比較してかなり劣っていることを経験の差だと自分に言い訳をしていました。しかし、実際にはただ海外に行くだけでは成長につながらず、英語が話せなくても、自分に自信がなくとも、とにかく行動することの大切さを強く実感しました。 また、私は以前、留学費用を貯めるために自分の時間のほとんどをアルバイトに費やし、その結果、学業が疎かになっていました。しかし、留学から帰ってきた今、時間が限られているからこそ、もっと自分の可能性を広げるために積極的に行動したいという思いが強くなりました。
この留学期間は、私の人生の中で最も濃密で様々な気づきや学びを得た時間でした。そのような貴重な機会をくださり、本当にありがとうございました。
2024年最後のサマータイム
まさかの電車が止まり、帰れなくなった夜
みんなで朝まで駅で過ごした思い出
ベルリンの壁崩壊を祝った ベルリンフェスティバル
(2025年9月取材/基金室)

Home
