支援を受けた学生のご紹介

Vol.32 「気候変動の研究者を目指して」

名前: K. B. DINUKA THARINDA(ケービー ジャヤシンハ ディヌカ タリンダ)

所属: 総合科学部国際共創学科(IGS) 2年 

国際共創学科(IGS)奨学金を受給。株式会社紀陽様 冠事業基金によるご支援

スリランカご出身のディヌカさん。ふるさとのご紹介をお願いします。

スリランカ南部に位置するゴール(Galle)が私のふるさとです。ゴールは世界遺産にも登録された有名な要塞都市で、海に近く、観光客も多く訪れる街です。私が生まれ育ったのはゴールの中心部で、川や海、滝、田んぼ、森に囲まれた自然豊かなところです。そんな自然の中で育った私にとって、似た雰囲気を持つ西条はどこか安心できる場所です。

 スリランカの有名な料理のひとつに「コットゥ(Kottu)」があります。スリランカでしか食べられていないスパイシーな代表料理で、日本でも時々食べたくなります。ただ、作るのにとても時間がかかるため、普段は日本食を作ることが多いです。

スリランカの気候は年間を通して温暖で、雨期と乾期があります。西条で過ごす夏はスリランカよりも暑く、冬はとても寒いので、最初は驚きました。

日本、それも広島大学に留学することを決めたのはなぜですか。

姉が先に日本に留学していたこともあり、当時高校生だった私は、よく電話で日本の文化や歴史について話を聞いていました。そして、姉が体験した日本での生活や学びの様子を聞くたびに、私の中で日本への興味が少しずつ芽生えていきました。

 また、友人が広島大学に留学していたことをきっかけに、IGSでは学部生でも留学が可能であることを知り、「自分も日本で学んでみたい」と思うようになり、私も広島大学への進学を決意しました。

HUモニュメントの前でお姉さんと

IGSでの学生生活はどうですか

IGSでの学生生活はとても面白く、充実しています。日本人だけでなく、さまざまな国から来た留学生もおり、先生も友人もみんな優しく、毎日楽しく過ごしています。 

最初は授業登録やオリエンテーションなど、慣れないことが多くて大変でしたが、困ったときや分からないことがあるときは先生や友人が親切に助けてくれました。おかげで、今では授業にもすっかり慣れました。

また、 渡航当初は日本語をほとんど話すことができませんでしたが、寮では同じ建物に住んでいる留学生が私だけだったこともあり、日本語を使う機会が自然と増えました。また、カフェでのアルバイトでの接客を通じて、さらに日本語を話す力を身につけることができています。

IGSの仲間たちと宮島へ

IGSの仲間たちと尾道市の耕三寺博物館へ

勉強の合間に何か活動していますか。

勉強の合間には、趣味の絵を描いて過ごしています。スリランカでは、小学生の頃から絵を描くアルバイトをしていて、特に人や犬の絵を描くことが好きです。最近では、友人の誕生日に似顔絵をプレゼントしました。似顔絵を渡す時にみんなが見せてくれる笑顔を見るのが嬉しくて、人の絵を描くことが1番楽しいです。 

大学ではアクリル水彩同好会にも所属していて、ゆかた祭りでは自分の作品を展示する機会もありました。1枚の絵を書くのに12時間ほどかかりますが、今は夏休み中なので、時間をかけて1枚の絵を完成させたいと思っています。

 将来の夢は、日本で自分のアート展覧会を開くことです。

お気に入りの1枚
仏陀の絵

友人家族にプレゼントした絵

卒業後の進路についてどのように考えていますか。

IGSを卒業した後は、修士課程そして博士課程への進学を通じて専門性を深め、将来的には、現在大学で学んでいる気候変動の問題に取り組む研究者になりたいと考えています。私の両親は農業を営んでおり、収量や品質の低下、病害虫の増加などのさまざまな気候変動による影響に悩まされており、気候変動は農業に深刻な被害をもたらしていると感じています。 

また、日本でも夏の異常な暑さや、集中豪雨など、気候の極端さを感じることが多くなっており、これは世界中でも同様に指摘されています。気候変動はまさに地球規模の課題であり、この問題に対して自分自身の力で何か貢献したいという想いから、今後も気候変動の研究を続けていきたいと考えています。

寄附者へのメッセージ

この度ご支援くださった株式会社紀陽様には、心から感謝しております。 

1年生の頃は、日本に来たばかりで生活に慣れるだけでも大変でした。しかし、いただいた奨学金のおかげで生活を整えることができ、安心して勉強に集中することができました。本当にありがとうございました。


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