支援を受けた学生のご紹介

Vol.16 「挑戦する気持ちを大切に」

名前: 根岸 姫奈

所属: 総合科学部国際共創学科 3年

大正富山医薬品株式会社(大正ファーマ株式会社)様によるご支援により、広島大学短期交換留学(HUSA)プログラムへ参加。
カーディフ大学(イギリス)へ2022年2月~2022年7月まで留学。

派遣先大学について

私はウェールズの首都カーディフにある、カーディフ大学というところに約半年間留学させていただきました。
英語圏の国でしっかり英語を学びたいと考えており、ハリー・ポッターやビートルズといったイギリス文化に興味があったので、イギリスへの留学を決めました。留学期間が半年ということで不安もありましたが、好きなものがある所ならきっと乗り越えられると思いましたし、やはり実際に行って視野を広げたい、今じゃないともう行けない!と思ったことが留学への後押しになりました。

留学期間中は、Modern Languageという学部に所属し、翻訳学や英語教育についての授業などを履修しました。大学には様々な国から多くの留学生が集っていて、国籍を超えたつながりを作ることができる環境でした。
授業はディスカッションが多く、先生と学生とが対等に議論を交わしていました。学生が先生に対して反対意見を言うのを見て、日本との違いに驚きました。ディスカッションには苦手意識がありましたが、自分も発言しなくてはならないので、予習にはかなり力を入れました。

大学の建物

カーディフ大学前の並木道

初めての留学と伺いましたが、いかがでしたか。

これまで海外経験が乏しかった私にとっては、今回の留学は大変な刺激となりました。

英語のスピーキング能力に自信がなく、人見知りの傾向がある私にとって、英語でコミュニケーションをとることは大変な労力を要することでした。しかし、せっかく留学に来たからにはと、人と接する機会から逃げずに、様々なことに挑戦することを意識的に心掛けていました。その結果、頻繁に落ち込んだり自己嫌悪に陥ったりしましたが、同時に、イギリスでしか体験できないような忘れられない思い出もたくさん作ることができました。

傷つくことを恐れないで何事にも挑戦するとは、口では簡単に言えますが、私にとっては決して楽なことではないと改めて認識しました。しかし、一方でそれを乗り越えた先にしか見られない景色や、得られない体験があることも強く実感しました。月並みな気づきではありますが、新しいことに身を投じてみることの大切さを学びました。

フェスでの写真

カーディフの街並み

また、イギリスの人々の人柄には、私自身もかなり感化されました。彼らはフレンドリーで、初対面であっても人との壁を作りません。道で困っている人を見かけたらすぐ手を差し伸べますし、私もそのように助けられたことが何度かあります。このようなおおらかな人々に影響され、今まで日本で当然だと思っていた価値観のみに固執することがなくなりました。そして、イギリスで様々な人のぬくもりに触れ、助けられたからこそ、私も日本で暮らす外国人に対して壁を作らず、手助けできる人間でありたいと強く感じるようになりました。加えて、イギリスの学生たちのメリハリにも驚かされました。

授業中にはよく勉強し、活発な議論を交わし合う一方で、休みは旅行などに充てて思い切り楽しんでいる様子がとても印象的でした。勉強と余暇の両方に存分に力を入れる彼らの姿勢には、私たち日本の学生も見習うべきものがあると思います。このようにイギリスで暮らす人々との出会いによって、視野を広げること、また、新たな自分を知ることができました。

留学を経験して、将来の展望に変化はありましたか。

将来の職業や今後の進路などがあやふやな状態で留学に行った私ですが、今回の留学で自分の興味がどこにあるのかということが少し明確になった気がしています。これは、自分が日本で専攻している授業から一度離れて、今まで選択していた科目とは少し異なるイギリスの教育に触れることができたおかげです。例えば、英語を第二言語として教えるメソッドを学ぶ授業をカーディフ大学で履修したのですが、このような科目は日本の大学にはあまり見られないため、新鮮でした。この授業での取り組みが一定の評価を得たことも自信になり、自分が何かを教えること、特に英語教育に興味を持っていたということに気がつきました。今まで教師になるということはあまり考えたことはなかったものの、今回の留学で意識するようになったため、今後は塾講師のアルバイトや英語教育のボランティアなどにも目を向けてみたいと考えています。

また、カーディフ大学で履修したジェンダーの授業もとても印象的でした。広島大学でもジェンダーについての授業を履修したことがありますが、イギリスでの授業はジェンダーへのアプローチがそれとは少し異なっているようです。ジェンダーそのものを問い直し、人とジェンダーの関わりの根本から深く考える機会が多かったため、たくさんの新たな学びが得られました。自分の興味がジェンダーにあるということを再確認できたため、残りの大学生活の研究テーマの一つにしてみたいと現時点では考えています。また、ジェンダーの授業を私自身がとても楽しんだことから、自分にはまだまだ勉強したいことがあるということにも気づき、大学院への進学も見据えるようになりました。

授業が休みの日はどのように過ごしていましたか。

留学期間中、イースター休暇や2ヶ月間の夏休みなどまとまったお休みがあったので、留学先で仲良くなった友達とイギリス国内はもちろん、イタリアまで足を延ばして観光に行きました。
ビートルズゆかりの地であるリバプール、首都ロンドン、温泉の町バースなどイギリスだけでも見どころがたくさんありました。

左:ロンドンの街並み 右:カーディフのアーケード

リバプールにあるビートルズのブロンズ像

最後に

イギリスでの生活は刺激的なことばかりで、一生忘れることができない思い出になりました。今回の留学が自分の将来を考えるにあたって、私の考えに様々な影響を及ぼしたことには間違いありません。このような機会を得ることができた私の留学を、金銭面から支援して下さっていた大正ファーマ様に、心から御礼申し上げたいと思います。

私は留学することを長年の目標にしてきたため、夢が叶って非常に嬉しく感じておりますし、コロナ禍で不安定な状況下でも、留学の後押しをしてもらえた私は本当に幸せ者だと思います。また、このようなご支援を頂いたからこそ、留学中も、私を支えてくれる存在に恥じない態度で勉強しようという気持ちに励まされ、自然と背筋が伸びました。大正ファーマ様からご支援のおかげで、心強い気持ちで渡英することができ、また様々なことに恐れず挑戦しようと思えた大変有意義な留学となりました。今回私が頂いた御恩は、この留学の経験を将来に最大限活かすこと、また、いつか私も未来の留学生の背中を押す存在になることで、お返ししていきたいと思います。

温かいご支援を賜り、本当にありがとうございました。

 

(2022年11月取材/基金室)


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