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【開催報告】【2023.12.4】独ライプツィヒ大学教育学部にてLU×HU日独シンポジウムが開催されました

日時:2023年12月4日(月)14:00~17:00
場所:ライプツィヒ大学 教育科学部
参加者:30名程度


12月4日(月)、ドイツ連邦共和国のライプツィヒ大学教育科学部にてLU×HU日独シンポジウムが開催されました。広島大学と部局間交流協定を結ぶドイツのライプツィヒ大学教育科学部は、ドイツ東部のザクセン州に位置し、1409年に創設された600年以上の歴史と伝統を有する大学です。
広島大学大学院教育学研究科(2021年度以降は人間社会科学研究科・教育学部へと引き継ぎ)とライプツィヒ大学教育科学部は2017年1月19日に部局間協定を締結し、主に教育学分野における共同研究や学術交流、シンポジウムの開催等を行っています。2021年6月10日にオンラインにて開催されたシンポジウムで、5年間の交流協定の継続の意思を松見教育学部長とBrigitte Latzko教育科学部長との間で確認し、2022年5月3日オンラインにて調印式を執り行い、2022年9月16日、Maria Hallitzky教授、木下江美特任教員、Karla Spendrin特任教員、Mamadou Mbaye特任教員が東広島キャンパスを訪問されました。直接本学を訪問しての授業研究分野での共同研究プログラムと、小林研究科長を交えたさらなる研究交流の発展のための交流会が行われました。


昨年の記事はこちら

今回のライプツィヒ大学訪問中、授業研究をテーマとする共同研究として、広島大学教育学部の教員(吉田成章准教授、安藤和久特任助教、福田敦志准教授ら)、兵庫教育大学の松田充講師と岡山大学の宮本勇一講師、そして広島大学の院生・研究生を交えた共同研究が行われました。午前中は共同研究の一環である本の執筆について議論が交わされました。ドイツでは教育の構造と学校の発展は別物と考えられている一方で日本では同時に行われていることや、すでにドイツで刊行している著書の日本語翻訳出版のスケジュールや編集について、そしてこれまでとこれからの共同研究の成果を英語の著作としてまとめていくことについて、そのために今後の共同研究の対象とする日本・広島の授業および授業研究、そしてドイツ・ライプツィヒの授業・授業研究をどのようなスケジュールで検討していくか、などの様々な課題があがりました。共同研究者たちへ広島大学教育学部より教育学部オリジナルグッズの贈呈も行われました。
 

共同研究が行われる様子

教育学部より共同研究者たちへグッズの贈呈

写真左からライプツィヒ大学Brigitte Latzko教育科学部長、ライプツィヒ大学Matthias Middell副学長、
広島大学松見法男教育学部長、広島大学丸山恭司副学長より開会の辞を述べられた後、日独シンポジウムの幕開けとなりました。
 

写真左から広島大学より吉田成章准教授、安藤和久特任助教、Yue Ming院生、澤田百花院生

第一部「学校と地域の協働による授業研究:日本における授業研究の事例研究」では、日本の高等学校における授業研究を事例とした研究報告がなされました。学校とコミュニティが協働で実施した授業研究の意義を生徒・教師・地域住人の視点から分析したうえで、地域と学校の協力を通じた授業研究が「越境」の可能性を有していること、学校ベースの授業研究を超え、地域ベースの授業研究へつなげることの大切さを提起されました。

写真左から広島大学七木田敦教授、ライプツィヒ大学Susanne Viernickel教授、比治山短期大学幼児教育学科七木田方美教授

第二部「幼い子どもたちの健康」では、広島大学より七木田敦教授、ライプツィヒ大学よりSusanne Viernickel教授による発表がありました。保育者の労働環境や心理的、身体的な健康は保育の質に影響を与えるリスク要因であると考えられており、保育の質の指標である ”well-being”という観点からの発表が行われました。保育における集団概念がどのように子どもたちに影響を及ぼすのか、心理的、情緒的に安定した状況をすべての子どもたちに保証することができるのか、そしてどのように子ども個々の ”well-being” を評価し、保育実践に活かすことができるのか、これらのことがドイツでは次の段階の課題になっていると提起しました。続いて七木田方美教授より、「サーブ&リターン」について紹介されました。「サーブ&リターン」は赤ちゃんに語りかけ、赤ちゃんも自分の体をつかって何らかの反応を示そうとするコミュニケーション方法の一つです。「サーブ&リターン」にどれくらい時間がかかるかが重要視されている中で、「サーブ&リターン」の相互作用は、幼児の身体的および精神的な発達、つまり脳の発達に影響を与えるため、幼児教育において大変重要な役割であると発表されました。

ライプツィヒ大学より写真左からKonstantin Keidel, Karina Limonta Vieira, Klaus-Christian Zehbe, Bernd Wagner

第三部「初等レベルでの社会科学科目の学習」では、日本とドイツの初等教育のカリキュラムの違いについて発表されました。Sachunterricht(事実教授)は日本の初等教育では生活科に値します。子どもたちに博物館で実際に歴史の遺物に(かばんや弁当箱等)触れさせている場面を紹介されました。学校の歴史をオブジェクトをもって学ぶワークショップは非常に画期的で素晴らしい取り組みでした。

ライプツィヒ大学よりMaria Hallitzky

第四部「広島とライプツィヒの異文化研究協力における調査対象としての教育」では、Maria Hallitzky教授より広島大学教育方法学研究室とライプツィヒ大学一般教授学講座の共同研究のこれまでの歩みと成果に関する報告がなされました。授業研究におけるアプローチの違いや関心の違いについて、実際に行った授業研究の事例を紹介しながら、「ヘリコプター」や「顕微鏡」といったメタファーとともに説明されました。同報告はすでに一冊の書籍としてまとまっており、同研究のさらなる展望が紹介されました。

発表後質疑応答が行われ、シンポジウムの最後に、両大学よりプレゼントの受け渡しが行われました。以上をもって、今回の日独シンポジウムは盛会のうちに終了しました。
 

 

【問い合わせ先】

教育学系総括支援室

E-Mail:ed-sou-jin(AT)office.hiroshima-u.ac.jp
​※(AT)は@に置き換えてください


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