島氏は、広島大学工学部と大学院工学研究科で発酵工学を専攻し、平成2年に博士課程前期を修了後、家業の白牡丹酒造株式会社に入社しました。白牡丹酒造株式会社は1675年創業で、地元西条だけでなく、広島県でも最古 の歴史を持つ酒造会社です。夏目漱石や棟方志功にも愛飲されています。島氏は、そのような伝統ある酒蔵で生まれ育ち、幼い頃から酒造りの現場に親しみ、広島大学や醸造試験所(現:酒類総合研究所)でお酒の研究をした後、家業に就かれました。
白牡丹や西条の酒造りの歴史をお話しいただいたあと、日本酒の製造工程についてご説明いただきました。酒造りの大事な要素として。
一、こうじ 二、もと 三、造り
と昔から云われているそうです。特に麹の出来、不出来が酒質を大きく左右するようです。麹造りの後、酒母仕込み、醪仕込みなど様々な工程を経て製品化されます。受け継がれた伝統や、経験をもとにした様々な工夫でよりおいしいお酒が造りあげられていくようです。
最後に学生に向けて、アセトアルデヒドの研究など分子生物学を応用して、お酒に対する悪いイメージを払拭してアルコールのいい面を発見してほしい、と締めくくられました。
講演後の質疑応答の中で、広島大学で学んだことがどのように役に立ったか?という質問には、「考え方の基本は研究室で培われた。学んだことは直接役に立ってはいないが、問題解決の方法などを身につけた」と回答されました。