平成28年5月6日、京都工芸繊維大学工芸科学研究科 電子システム工学専攻教授の小林和淑先生をお招きして、「集積回路の信頼性.―主にゲート酸化膜欠陥起因のRTN,BTI,TIDについて―」という題目でお話しいただきました。
京都工芸繊維大学についてのご紹介に続いて、集積回路の信頼性について、最新のシリコンVLSIの欠陥起因の劣化現象を中心にお話しいただきました。集積回路はインフラ、交通機関、銀行などのシステムに欠かせないものですが、ひとたび問題を起こすと交通機関がストップするなど、社会的に大きな影響が出ます。それを防ぐために、集積回路の信頼性を高める技術が研究されています。結晶の欠陥に起因するものもありますが、ゲート酸化膜起因のRTN、BTI、TIDについて詳しくご説明いただきました。
- RTN:Random Telegraph Noise (モールス信号のようなノイズ)、
- BTI:Bias Temperature Instability (バイアス温度不安定性)
- TID:Total Ionizing Dose (中性子などの影響)
専門的なお話の後は、Think different.(違う方向で考えよう)ということで、映画“STAR WARS”を例に、わかりやすくご説明いただきました。政治の世界では右対左、世の中では「ルールに基づく人」対「概念に基づく人」の構図が存在し、〝STAR WARS”の登場人物は、正義(Light Side)は右側(right)、悪(Dark Side)は左側(left)に並んでいます。右のrightは「正しい」という意味もあります。アカデミックの世界に当てはめると、研究者はLight Sideでなければならない。仮説と違う実験結果が得られたときは、そこでよく考えてみると新しい発見があるかもしれない。研究のための研究はしない。世の中のためになる研究をする。発想を変えれば、新しい発見につながるかもしれない。新しい発見のために、新しいゴールを見つけよう。そして、Coopetition = cooperation + competition 協力的な競争関係 を大切に、というメッセージをいただきました。
最後に、Be the Change! Our world is advancing year by year.という言葉で講演を締めくくられました。