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2025年INEI年次総会(サンパウロ大学)に広島大学教育学部が参加しました

2025年 INEI年次総会 集合写真

2025年10月15日から17日まで、ブラジル・サンパウロ大学において「Curriculum and Intercultural Education」をテーマに、2025年度International Network of Educational Institutions(INEI)の年次総会が開催されました。

INEIは、教育学に関する実践と成果を集約し、国際的な教育の発展を目指す教員養成系研究大学の国際ネットワークです。広島大学は日本を代表する教員養成機関として、2018年から加盟しています。なお、昨年度は本学が年次総会の開催校を務めました(昨年度の様子はこちら:https://www.hiroshima-u.ac.jp/ed/news/86706)。

INEI 2025の様子

年次総会に先立ち、10月14日には「Challenges and Possibilities for Teacher Education: a Transnational Perspective(教師教育の課題と可能性―越境的視点から)」をテーマとしたプレカンファレンスが開かれました。広島大学からは、丸山恭司教育学部長、金鍾成准教授(INEI研究担当)、三時眞貴子准教授の3名が参加し、「Between Legacy and Innovation: Rethinking Teacher Education in Japan」というタイトルで共同発表を行いました。

発表では、日本の教育制度および広島大学教育学部の概要を紹介した上で、特別活動や授業研究など、日本の教師教育を支えてきたレガシー(教育的伝統)を取り上げました。そして、学齢人口の減少や教員のワークライフバランスといった近年の社会的変化において、これらの伝統が直面している新たな課題についても議論しました。

同プレカンファレンスでは、カナダのOISE、オーストラリアのメルボルン大学、ブラジルのサンパウロ大学、アメリカのウィスコンシン大学マディソン校、イギリスのIOEなど、各国の加盟大学が発表を行いました。パネルディスカッションでは、人口減少や教員不足、教師教育の質保証といった共通の課題が浮き彫りになる一方、多言語・多文化教育や社会正義の実現など、各国固有の文脈に根ざしたテーマの重要性も確認されました。なお、このプレカンファレンスの成果は、今後書籍として出版される予定です。

初日(10月15日)の午前には、サンパウロ大学教育学部長Carlota Boto教授の開会挨拶に続き、長年INEIを支えてきたSonia Penin名誉教授によるスピーチがありました。スピーチでは、INEIがどのように国際的なネットワークを広げ、世界の教師教育の発展をリードしてきたかが語られました。続いて、加盟各大学から、INEIへのこれまでの関わりや自大学の特色について報告が行われ、広島大学からは丸山教育学部長が、日本および国際社会における本学の教師教育・教育学研究の貢献について紹介しました。

午後は、サンパウロ大学が運営する考古学・民族学博物館(Museum of Archaeology and Ethnology)を訪問し、大学と博物館の連携の在り方について議論しました。特に、アフロ・ブラジリアンの文化的表象をめぐる展示や、社会正義の観点から集合的記憶をどのように継承するかといったテーマで活発な意見交換が行われました。その後、INEIの今後の研究協力の方向性に関する会議が開かれ、連続ウェビナーの開催や研究資金制度「SEEDSファンディング」の運用強化などが提案されました。

2日目(10月16日)には、サンパウロ大学のMuseum Paulistaを会場に、「Curriculum and Intercultural Education」をめぐる議論が続きました。午前中は、学芸員による展示内容の説明を通じて、展示がどのように異文化理解や相互交流を反映しているかを学びました。午後には、Roseli Fischmann博士およびRosenilton Silva de Oliveira博士による基調講演があり、理論的・実践的な観点から議論を深める機会となりました。

最終日(10月17日)には、加盟大学間の学生交流活性化に関する議論が行われました。ウェビナーを学生交流の一環として位置付ける提案や、大学間協定に基づく交換プログラムの推進などが検討されました。続くビジネス・ミーティングでは、INEIのリーダーシップ強化や事務局機能の改善に関する提案がなされ、次回のオンライン会議で規定の改訂を行う方針が確認されました。

今回の4日間の会議を通して、世界の教師教育という視点から改めて本学の教師教育の在り方を見つめ直す貴重な機会となりました。広島大学には、授業研究や平和教育といった国際的に評価される研究の強みがある一方で、国内のマイノリティ教育や社会正義教育のさらなる充実が求められていることも確認できました。今後も本学は、INEIの一員として、日本と世界の教師教育の架け橋としての役割を果たしてまいります。
 

広島大学からの参加者。左から丸山学部長、三時准教授、金准教授

加盟大学

  • 日本 広島大学
  • オーストラリア メルボルン大学
  • ブラジル サンパウロ大学
  • カナダ トロント大学
  • 中国 北京師範大学
  • シンガポール 南洋理工大学
  • 韓国 ソウル大学校
  • 南アフリカ ケープタウン大学
  • イギリス ロンドン大学
  • アメリカ ウィスコンシン大学・マディソン校
  • デンマーク オーフス大学
     
【お問い合わせ先】

広島大学大学院人間社会科学研究科

教授 丸山 恭司
Email: yasumaru*hiroshima-u.ac.jp(*は半角@に置き換えてください)


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