研究概要

統合的意志決定能力の育成

 「科学的な知の体系」における「科学的な知」とは,次に示す内容の総体である。   

・基礎的,基本的な内容
・論理的,客観的な思考
・帰納的,演繹的,分析的な思考方略
・科学的な根拠に基づく推論や判断
・科学の方法(探究の方法)
・相互に自分の考えを伝えるための表現
・問題を自ら発見する
・問題を解決する方法を見出す
・見出した方法に基づいて実行する
・得られた知識や内容を基にして統合的に判断する
・自ら進んで問題に関わり,意思決定をする(統合的意思決定能力(Integrated Decision Making))
  
ここに示した「科学的な知」は単に各項目が単独にあるのではなく,ある時は獲得する動機であったり,方法であったり,目的であったりする。このように相互に関係し合った構造をもっているので,この構造を「体系」として表現し,全体として「科学的な知の体系」という。

科学的な知の体系の習得

フロンティアサイエンス講義

 先端科学に携わる研究者を招いて特別講義や実習を実施します。研究者自らが行っている最先端の研究や,トピックスに基づく内容を扱うことによって,科学に対する興味・関心を喚起し,高大接続を意識した基礎的な資質を養うことをねらいとしています。

研究室訪問学習

 広島大学等において希望する研究室を訪問し,大学教員や大学院生と対話する中で,様々な科学研究の現場に触れ,キャリア意識が高まることをねらいとしています。研究室を訪問することで得られた成果について,様々な機会を利用して生徒間で情報を共有します。

先端研究実習

 研究者や大学院生の指導の下,実際の先端的研究を少人数で直接体験することを通して,研究者の思考や態度を学びます。自然科学の各分野における技能を直接研究者から学ぶと共に,研究者のキャリア意識に触れ,指導者も含めた高大接続の意識を高めることを目的としています。

広島大学ナノデバイスセンターでの実習

△ 広島大学ナノデバイスセンターでの実習

サイエンスプロジェクトツアー

 日本の世界最先端科学を直接研究施設等に赴いて学ぶ機会を持つと同時に,時機を得た内容について大学,研究機関,博物館,NPO法人等を利用した研修を行い,科学に対する夢や,科学への幅広い見方や考え方を養うことを目的として実施します。また少人数に分かれた講義,実験等を実施し,学習した内容を生徒間で発表し合うことを通して,研修で得られた知見の共有やプレゼンテーション能力の育成を図ることをねらいとしています。

SPring-8を見学

△ SPring-8を見学

科学知の探究I

 数学,理科において基礎的・基本的な内容の理解の充実を図る授業を開発,実施します。このとき,学習内容の精選を行ったり,新たな実験・観察等を系統的に取り入れたりすることによって,内容の定着がはかられるよう工夫するなど,効果的な学習内容,方法の開発を行います。

科学知の探求II

 「科学的な知の体系」の習得に求められる,思考,判断,表現,及び問題発見,問題解決,統合的意思決定能力の育成のための新たな学習内容,方法を全教科で5か年計画をたて,通常の授業時間の枠内で実施します。

「現象数理解析」

 「現象」にどのようにアプローチするかという考え方そのものに踏み込んで,「現象」をモデル化し,数学的に表現し解析に利用するといった数理モデリングの手法を学習し,自然現象の解析を行います。食糧問題やエネルギー問題等を取り上げ,その社会背景を理解したうえで,数理的な視点から解決方法を考究し,社会問題を考察する際の客観的な視点や態度を養うことを目的とします。

課題研究

 科学研究班,数学研究班を中心に実施します。自主的に研究する態度を育成したり,創造性が育まれていく過程を実感させることを目的としています。自ら決めたテーマに従い4名程度のグループに分かれて約1年半の期間,課題研究を進め,課題研究発表会等を適宜実施すると同時に国内外の学会・シンポジウムへの積極的に参加します。研究内容は論文集にまとめます。

スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会

△ スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会

国際的視野を育む

・海外語学研修
  長期休業中にオーストラリア等でホームステイをしながら,現地の高校や施設で語学研修プログラムを実施します。また,交流校の授業参加や高校生との文化交流も行います。異文化を体験すると同時に,環境保全についての取り組みを学習することで,地球環境問題に対する意識を高めることをねらいとしています。

・「科学英語表現」
 SSコースの生徒が実施する「課題研究」の内容に関わる英語の科学論文・文献を用いた学習や,科学的な内容を相手に分かりやすく伝えるためのプレゼンテーションに関わる技能を学習し,国際会議での発表,海外理数系重点校との交流,外部講師によるセミナー,国内英語合宿等を行います。合わせて少人数によるグループ学習,理数科の教員とのTT等,効果的な学習方法の開発もあわせて行います。

高度な倫理観の涵養

・科学と倫理
 科学と倫理との関係を学習します。年数回の外部講師等が連続講演を行ったり,科学と倫理の関係を考察することを通して,自らの生き方や考え方について思慮し,高度な倫理観を獲得することをねらいとしています。

・倫理の探究
 全教科における科学と倫理に関係した学習について,各教科の特性に応じて,学習内容・方法等を開発し,実施します。各教科の授業時間に実施します。

持続可能な社会を先導する人材の育成

・ESD研究
 「持続可能な社会」の実現のために求められる重要なテーマについて,各教科の持つ視点に基づいてそれぞれ複数教科ごとに数時間の授業をリレー形式で行います。多面的なものの見方を培い,自分なりの視点をもち行動する態度を養うことを目的としています。 

・ESD汎論
 ESDに関係した,各教科の特徴に応じた学習内容と,学習方法等を全教科で開発・実施します。

・ESD海外研修
  環境問題を世界規模で総合的に考えることができる能力を養うため,海外の高等学校,大学,企業,研究機関等との連携を通して,教材開発,共同授業,共同研究等を実施します。
 

韓国での共同授業

△ 韓国での共同授業


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