研究者マインドを身に付けたい

佐藤 万知 准教授

基本情報

  • 所属又は配属:高等教育研究開発センター
  • 職名:准教授

 

研究者になるまでの軌跡

 私が博士課程に進学をしようと決めたのは、30歳を目前にした時でした。
 もともと漠然と違う国の民族について学びたいと言語の勉強と地域研究のできる大学に進学しました。そこで移民というテーマに出会ったものの、それ以上どうしていいのかわからないまま学部の2年間が過ぎて行きました。しかし、たまたま東南アジアの政治を扱う授業を受講し、そこから一気に東南アジア研究に引き込まれ、ついには交換留学の制度を使って東南アジア研究ができるカナダの大学に留学し、留学が終わるころには大学院への進学を決意していました。
 修士の2年間は、研究をすることも楽しかったのですが、研究を通じて何をしたいのか、なんのために研究をするのか、ということを考えるようになり、その答えを見つけることができなかったため、博士課程に進学することは見送ることにしました。その後、就職をしたものの、与えられる仕事をやるだけでは面白くなく、結局新しい刺激を求めて、ユネスコのインターンシップに応募し、バンコクで半年間を過ごしました。その時に見た光景が、博士への進学を決意させたのです。
 私が関わったのは、東南アジア各国で教員養成を行っているトレーナーを集め、ユネスコが提唱するEducation for Sustainable Developmentに関連する概念をどうカリキュラムに落とし込むのか、ということを考えるワークショップでした。そのワークショップの準備で、ファシリテータを務める大学教員が集まり、持続可能性とはなにか、平和とは何か、というような抽象的概念レベルの議論をし、合意形成をした上で、今度は概念を具体的な活動に落とし込む、という作業をしていました。個別の事情を考えると議論できないようなテーマでも、概念レベルまで抽象度を上げてからであれば、議論できる、ということにわくわくし、そういうことができる能力を身につけて働きたい、研究者マインドを身に付けたい、だから博士に進学しよう、と決め、今に至ります。

学生に対するメッセージ

 みなさんは、なぜ研究をしていますか? 研究者として大切にしていることはなんですか?
 ご存知のように、研究者という仕事は、様々な形態があります。大学教員以外にも、民間の研究所やシンクタンクといった直接的に研究に携わる仕事もあれば、研究活動自体は行わないものの、探求するという研究者マインドを必要とする仕事もあります。またライフステージの中で、思うように研究活動に携わることができない時期もあるかと思います。そういう中でも、自分が何を大事にして研究、あるいは研究者、という道を選んだのかということを思い出すことで、乗り越えられることも多くあります。今のうちに、しっかりと気持ちと体を鍛えて、自分の道を切り開いていってください。

(2017年2月掲載)
*所属・職名等は掲載時点のものです。
 


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