疫学・疾病制御学

田中 純子 教授

【研究キーワード】
肝炎ウイルス(HBV, HCV, HAV, HEV)、疫学、疾病制御と対策、理論疫学(Bayes, Markov 等)、ウイルスの遺伝子解析、がん検診の有効性評価、血液事業と献血推進、big data解析とデータヘルス、医学統計、グローバル疫学

【最近のハイライト】
・日本に存在する肝炎ウイルス持続感染者(HBV, HCV)数の推定を行い、2000年時点300~370万人と比較して2011年には210~280万人と減少したことを報告しました。社会における存在状態別に持続感染者の推定を行うことでより具体的な肝炎対策の構築をめざしています。
・2009年より実施しているカンボジア王国における肝炎ウイルス感染状況把握のための疫学調査(第9回)を今年度もシェムリアップ州で実施しました。現在、王国全土を対象とした抽出調査の計画をカンボジア保健省、WPRO(WHO Western Pacific Region)、CDC(Centers for disease control and preventionアメリカ疾病予防管理センター)、の協力を得て進めているところです。
・2015年度からMPH(Master of Public Health;公衆衛生学修士)が開設され、「疫学」、「生物統計」コースを担っています。

研究者総覧へのリンク

【教育内容】
 広範な衛生学・公衆衛生学領域のうち、疫学、保健統計、生物統計、予防医学と健康増進、感染症対策、スクリーニング、食品保健、環境保健、医の倫理、国際保健の教育を担っています。特に、疫学は「疾病予防と制御・対策」が目的であり、それを実践する為の理論と方法論の修得です。社会医学分野だけでなく、臨床医学分野においても修得すべき重要な科目であることから、生物統計の基礎修得を含めた演習を多く取り入れています。2015年度から開設されたMPH(Master of Public Health)の「疫学」、「生物統計」コースの講義とも連動した効果的な教育を運用しています。research question に対する仮説を設定、疾病の病態や目的に適した研究デザインを選択し、取り扱うデータ情報に応じた適切な解析や疫学的評価・統計学的検討を行うことを到達目標としています。
 また、下記に示す当研究室で行っているテーマに参画することを通じて教育・研究指導を行います。時代に即応した疾病がテーマとして適宜加わります。肝炎ウイルスの血清疫学研究に伴う国際連携を構築しつつあり、実験室内技術[免疫血清学的・分子遺伝子学的方法]の修得も可能です。医師を含む多岐分野にわたる社会人大学院生の入学希望者が多いことから、修士・博士課程卒業後は、自身の職種に応じた広義の疾病対策のリーダーとして活躍することが期待されます。

【研究内容】
急性感染も含めた肝炎ウイルス感染状況・長期経過と治療導入対策に関する研究
肝炎ウイルス持続感染者の患者数推計
有限状態Markov連鎖モデルに基づいた肝炎ウイルス持続感染による病態推移に関する研究
Markovモデルを用いたC型肝炎患者への抗ウイルス治療導入に関する費用効果分析
有限状態Markov連鎖モデルに基づいた輸血用血液の需要と供給の将来予測
感染症数理モデルに基づいたインフルエンザ流行動態についての解析
Age-Period-Cohortモデルに基づいた肝がん、肝硬変死亡の将来予測
Bayesian methodに基づいた肝癌標準化死亡の日本における地理的分布に関する研究
数理疫学的手法を用いたがん検診・肝炎ウイルス検査(肝癌)サーベイランスの有効性
国際疫学調査研究:アジアの肝炎ウイルス高侵淫国(ベトナム・カンボジア等)における肝炎ウイルス感染状況の把握および遺伝子学的解析
human-hepatocyte repopulated chimeric mice(ヒト肝細胞置換キメラマウス)を用いた肝炎ウイルス感染防御に関する感染実験研究:最少感染価、HBワクチン接種後HBV感染防御
献血者集団、血液透析患者集団、住民検診受診者集団等を対象としたprospective cohort study –自然史の解明、肝炎ウイルス感染と生命予後の解明、大腸癌罹患率の解明

【写真説明】 CDC(Centers for disease control and prevention)訪問

【写真説明】 ベトナム調査


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