皮膚科学

【研究キーワード】
蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、血液凝固因子、汗抗原、マラセチア、表面プラズモン共鳴、皮膚細菌叢、マスト細胞

【最近のハイライト】
近年、当科の研究グループは、汗に含まれるマラセチア菌の分泌する蛋白が、アトピー性皮膚炎の悪化因子である可能性を明らかにしました。この蛋白を分解・阻害する薬剤を開発できれば、汗によるアトピー性皮膚炎の悪化を防ぐことが出来るかもしれません。このような新しい研究成果を紡ぎ出すために、当教室からは多くの医師が海外留学で研鑽を積み、あるいは国内の優れた施設へ赴き、診療能力のさらなる向上に努めています。今後も新しい医学の発展のために、学生、臨床医と基礎研究者が協働して、世の中に次々と良い仕事を発信することをめざしています。

教育内容
皮膚科学における教育内容は、皮膚と粘膜など体表面に生じる病的変化を対象とし、それに対する内科的・外科的治療を包括します。
講義では、皮膚の構造や機能、免疫機構を総論として学びます。各論では、皮膚を舞台とした様々な疾患の病態、診断、治療について学習します。学習する疾患は、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、皮膚腫瘍、熱傷、皮膚感染症、角化症、水疱症、薬疹、膠原病、遺伝性皮膚疾患など多岐にわたります。
臨床実習では、担当医とともに患者の診察を行うことを通じて現場での皮膚科診療を学びます。問診、視診、触診という基本的な診察手技を礎に、皮疹を見てその中で起きている組織像を思い浮かべ、組織像を見て皮疹の状態を理解し、正確な診断と最適の治療を検討するという皮膚科ならではのプロセスを学習します。
大学院では、下記の研究内容や自身の興味ある分野からテーマを選び、先進的、探索的研究に取り組みます。将来は、広島県内の病院で皮膚科医療の専門家として医療に従事したり、国内外の関連施設へ留学するなど、さまざまな道を歩むことができます。

研究内容
1.蕁麻疹の疫学および病態形成機序の研究
2.アトピー性皮膚炎の疫学研究
3.アトピー性皮膚炎由来黄色ブドウ球菌と皮膚免疫の解析および制御物資の開発
4.創傷治癒・皮膚再生医療に関する研究
5.汗腺組織の分化機構に関する研究
6.アトピー性皮膚炎の病態と痒みの発症機構の解明
7.ケラチノサイト由来神経ペプチドによる皮膚2型炎症反応制御機構の解明
8.血管性浮腫の病勢およびQOL障害を把握する質問票日本語版の開発
9.遺伝性血管性浮腫の疫学および病態形成機序の研究
 

アトピー性皮膚炎患者の多くは発汗による皮疹の悪化を経験します。その皮疹悪化の一つの機序として、皮膚細菌叢のマラセチア菌が分泌する蛋白質に対す即時型アレルギー反応があげられます。実際、患者から得られた血液成分には、マラセチア蛋白MGL_1304に反応するIgE抗体が検出されます。

【写真説明】 アトピー性皮膚炎の皮膚症状

【写真説明】 顕微鏡下で観察されるマラセチアの形態

【写真説明】 アトピー性皮膚炎(AD)患者血清に検出されるMGL_1304に対するIgE抗体
(※Fig 1cはHiragun, T. et al. Fungal protein MGL_1304 in sweat is an allergen for atopic dermatitis patients. J Allergy Clin Immunol 2013, 132, 608-615 e604.から引用)


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