救急集中治療医学

志馬 伸朗 教授

【研究キーワード】
感染症、敗血症、抗菌薬、小児集中治療、急性呼吸不全・急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、人工呼吸、呼吸生理、体外式膜型肺(ECMO)、COVID-19、呼吸音モニタリング、遠隔医療、病院前救護、メディカルコントロール、ドクターヘリ、脳症

【最近のハイライト】
COVID-19パンデミック時に確立したクラウド型データベースを拡張し、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や未知の新興再興感染症にも対応できるよう改良中です。さらに機械学習を用いて、急性呼吸不全の重症化を予測するアルゴリズムを開発中です(AMED採択研究課題)。パイオニア社(現・エアウォーター社)と共同開発してきた呼吸音自動解析システムは、手術室・集中治療室で使用できる貼付型デバイス(AMED採択研究課題)や、COVID-19のホテル療養で応用できる遠隔モニタリング・デバイスに改良してきました(AMED採択研究課題)。
G7広島サミットでは、首脳等対応医療機関として、最重症患者の治療や爆破・化学テロによる多数傷病者の対応ができるよう院内整備をしました。また、広島県全体の医療調整本部として、首脳等の安全確認・救急搬送経路を指揮しました。
能登半島地震では、複数の医療チームを現場派遣し、被災者の救護・支援にあたりました。現地では、医療調整本部として参集DMATの指揮を執るとともに、自らも被災現場へ出動し、倒壊しかけた病院の全患者避難や、医療破綻した高齢者福祉施設の立て直しに貢献しました。
人工呼吸器や体外循環を必要とする重症患者を安全に集約化するため、重症患者搬送のシステム構築を行っています。
ウサギ重症呼吸不全モデルを用いて、人工呼吸や自発呼吸が肺傷害に与えるメカニズムを研究しています。また、神経解剖学との共同研究で敗血症性脳症・多臓器不全のメカニズムを解析しています。日本版敗血症ガイドライン・ARDS診療ガイドラインでは、いずれも委員長として作成指揮を執っています。敗血症、人工呼吸、ECMOの分野で、複数のシンポジウムや教育講演(海外を含む)を行い、論文・著書として情報発信も行っています。

研究者総覧へのリンク

【教育内容】
屋根瓦式の教育体制を採用し、上級医は若手医師へ、若手医師は研修医・医学部生へと、持続可能な教育体制を整備しています。年齢の近い医師から教育を受けるため、質問をしやすいメリットもあります。臨床的指導はもちろんのこと、救えない命を救えるようにするために、どのような改良をすれば良いかを、基礎・臨床研究を通じて指導しています。
敗血症・感染症や重症呼吸不全・人工呼吸に関しては、動物を用いた基礎研究から、患者データを用いた臨床研究まで、一貫した研究体制を確立しています。
さらに、広島県内外の多種多様な医療機関と連携もしており、希望により国内外への留学も可能です。

県内の関連病院:県立広島病院、市立広島市民病院、広島原爆赤十字病院、JA広島総合病院、JA尾道総合病院、市立安佐市民病院、NHO呉医療センター、中国労災病院、呉共済病院、NHO東広島医療センター、興生総合病院、公立邑智病院、浜脇病院、など
県外の連携施設:
1)専門医研修:京都府立医科大学、NHO京都医療センター、京都第二赤十字病院、京都第一赤十字病院、市立福知山市民病院、長浜赤十字病院、倉敷中央病院、島根県立中央病院、かわぐち心臓呼吸器病院、産業医科大学
2)共同研究:京都府立医科大学、信州大学、国立研究開発法人医薬基盤研究所
3)海外研修:Children's hospital of Philadelphia、Children's hospital of Los Angeles

【研究内容】
1.救急集中治療における呼吸・循環・感染制御のメカニズム解明(基礎研究・臨床研究):敗血症性ショック・急性呼吸窮迫症候群(ARDS)・新興再興感染症
2.救急集中治療における新規医療機器開発:呼吸音自動解析システム、クラウド型重症患者データベース、重症化予測機械学習アルゴリズム
3.大規模データを用いた病院前診療改善に関する研究(社会疫学研究):救急搬送データベース、ドクターヘリ・データベース
 

志馬教授カンファレンスの様子

体外式膜型肺による呼吸不全治療

記者会見「呼吸音を可視化する電子聴診器を開発」の様子(大下准教授・貞森客員教授)


up