【研究キーワード】
高精度放射線治療、強度変調回転照射、高齢者機能評価、AI、Radiomics、オリゴ転移
【最近のハイライト】
1. HyperArcの導入:
強度変調放射線治療(IMRT)における新しい照射方法であるHyperArcを導入しました。この技術により、リニアックを使用して多方面からの強度変調回転照射(VMAT)を行い、腫瘍への放射線の集中性を最大化し、正常組織への影響を最小限に抑えることができます。
2. 小線源治療の分野における画像誘導小線源治療(IGBT)およびHybrid RALSの促進:
婦人科癌に対する腔内照射では、CT画像に基づいて三次元的に治療計画を立てることで治療成績の向上と有害反応の軽減を図ることが可能な画像誘導小線源治療(IGBT)を導入し、積極的に施行しています。さらに、通常の腔内照射では対応が困難な不整形腫瘍に対しては、腔内照射に組織内照射を併用する新たな治療法(Hybrid RALS)を導入しています。
2025年4月よりRALS室をリニューアルし、より快適な治療環境を整備しました。あわせて、Hybrid RALSに対応した新たな腔内照射用アプリケータを導入したことで、これまで以上に精密かつ簡便にHybrid RALSを施行できる体制が整いました。
3. ルタテラ治療の開始:
ソマトスタチン受容体陽性神経内分泌腫瘍(NET)に対してルタテラ(一般名:ルテチウムオキソドトレオチド)を用いた新しい治療を開始しました。この薬剤は腫瘍に発現している受容体に特異的に結合することで、放射性同位元素が腫瘍に取り込まれ治療効果を発揮します。そして、周囲の正常細胞への影響を最小限に抑えつつがん細胞を効果的に破壊します。
4. HIPRACとの地域連携:
再開発中の広島駅北口にHIPRACが開院し、当院は広島市民病院、県立広島病院、広島赤十字・原爆病院、広島大学病院と共に4病院ネットワーク型がんセンターとして連携を強化しています。県内のがん診療連携拠点病院としても、最適な放射線治療が受けられる体制を構築しています。
5. 新規放射線治療計画ソフトウェアの開発およびAIを活用した治療技術開発:
医学物理の分野では、企業や国内外の研究機関、病院と連携しながら放射線治療計画ソフトウェアや治療法の開発、AIを活用した治療技術の国際共同研究に取り組んでいます。AIの活用は幅広く医療全体で行われており、当教室で開発されたAIツールは放射線治療の枠を超え、各診療科への支援にも活用されています。