放射線腫瘍学

永田 靖 教授

【研究キーワード】
高精度放射線治療、強度変調放射線治療、強度変調回転照射、体幹部定位照射、医学物理学、X線治療、粒子線治療、線量計測技術、線量シミュレーション技術、放射線照射技術、放射線画像化技術、医学物理士

【最近のハイライト】
 平成28年より文部科学省支援の病院機能強化経費として、「世界最高水準の放射線治療チームの育成と地域及びアジアへの展開」を受けております。この経費を活用し、放射線治療を推進するためには不可欠な、放射線腫瘍医、歯科医、医学物理士、診療放射線技師、看護師のチーム育成目的に、国内外の最先端施設訪問や講演会開催、アジア発展途上国の放射線治療施設支援を開始しております。
 広島駅北口に平成27年10月に「広島がん高精度放射線治療センター」が開設されました。広島駅北口という交通至便の地に最新放射線治療装置を3台配備し、高精度先進放射線治療を行っています。広島市民病院、県立広島病院、広島赤十字・原爆病院、広島大学病院との4病院ネットワーク型がんセンターとして、4病院は元より県内がん診療連携拠点病院よりも患者紹介や人員派遣の体制を構築し、県内どこにいても最適な放射線治療を受けられるような体制を構築しております。
 医学物理の研究では、様々な国の研究費を獲得し、様々な研究機関やメーカーとの連携により、国産の放射線治療計画装置の研究開発や世界初の腫瘍へ照射される放射線領域のリアルタイム画像化と腫瘍の線量応答性観測が可能な計測システムの研究開発などの医学物理学研究テーマに挑戦し続けています。

研究者総覧へのリンク

【教育内容】
 人材育成は大学の大切な使命であり、学生と若手医師との教育に力を注いでいます。医学部3年生を対象に臨床腫瘍学関連の19講義、医学研究として配属される4年生には医学物理学を中心にした放射線腫瘍学の基礎研究、5-6年生の臨床実習では当教室が中心となり放射線療法、化学療法、緩和医療を総合的に学ぶ「がん治療学」の実習を行っております。 
 臨床研修医と若手医師には、最新の高精度放射線治療を含めた外部照射、舌癌・子宮癌など
に高い治療効果が得られる組織内照射、RI治療などの実地診療に基づく教育を行っています。具体的には、指導医の下で、診察、診断、治療方針の決定、治療計画の作成、実際の治療、効果判定、有害事象の検討、治療後の経過観察などを学習します。放射線治療科における症例カンファレンスでは、担当患者の診断、治療計画、治療の進捗、問題点等についてのプレゼンテーションを行い、疾患への理解を深めるとともにプレゼンテーション能力を習得します。関連診療科との合同カンファレンス・キャンサーボードでは、対象症例の多職種チームによる治療戦略の立案および集学的治療の進め方などを学習します。また、英語論文と教科書の抄読会への参加を義務づけており、普遍的かつ最新の知識の習得に努めてもらっています。
 医学物理研究では、物理学の知識と医学の知識を融合させ、日々進化する高精度放射線治療の研究開発及び品質保証を行うことで、多くの患者さんへ高品質な放射線治療を安全に提供することです。当研究室は国内ではあまり類が無い、医学物理研究及び教育体制が充実しており、産学官連携による最先端の医学物理研究を展開している特徴があります。また、文部科学省「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」における医学物理士養成コース及び医学物理士認定機構による認定医学物理教育コースの認定を受けており(修士課程)、その環境を活かすことで研究・教育から臨床現場で活躍できる医学物理士の養成を行っております。本研究室の大学院生は、医学物理学の基礎を学び、革新的な研究開発テーマに取り組むことで、世界で活躍する医学物理士になることを目指しています。その他の大学院教育では、モンゴル・マレーシア・フィリピンからの留学生が、「放射線災害復興を推進するフェニックスリーダー育成プログラム大学院」にて研修中であり、国際色も豊かです。

【研究内容】
 当教室における研究のメインテーマは高精度放射線治療における新たな治療技術開発と臨床試験の推進であります。新たな治療技術として、食道や肺など呼吸性移動のある臓器へ高精度放射線治療を応用すべく、4次元CT(4D-CT)による金属マーカーを用いた食道の位置変異の検討、肺癌放射線治療計画における時間的要素を加えたターゲット画像作成、肺、肝機能画像を用いた放射線治療計画の基礎的検討、等を行っています。臨床試験については、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)や日本放射線腫瘍学研究機構(JROSG)などの臨床試験に積極的に参加するにとどまらず、種々の臨床試験の研究事務局として新たなエビデンスの構築に取り組んでいます。医学物理の研究内容としては、国産放射線治療計画装置の研究開発、照射放射線検証用シンチレーター検出システムの研究、粒子線治療における照射領域可視化・腫瘍線量応答性システムの研究開発、等を行っています。

【写真説明】 集合写真

【写真説明】 カンファレンスの様子

【写真説明】 がんの放射線治療の計画を実施するために開発した国産治療計画装置(jPRAPs)による画像表示例


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