白田 理人 准教授

基本情報
- 所属又は配属:大学院人間社会科学研究科
- 職名:准教授
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研究の内容
琉球列島(鹿児島県の奄美群島及び沖縄県)で話されている言語をフィールドワークしています。主に、鹿児島県の喜界島・奄美大島を対象に、集落ごとの「方言」について、母音や子音をいくつ区別するか、単語をどのように作るかなど、言語としての基本的な仕組みを中心にしつつ、特に興味深い点(現在は疑問文・指示詞・アクセントなど)について掘り下げて調査・分析しています。
研究に至った経緯
大阪で、愛媛出身の祖父母が家にいる環境で育ち、また、児童劇団に入っていて「標準語」の発音の訓練をすることもあったので、子どもの頃から、地域によることばの違いに意識が向くことが多かったように思います。
ことばへの興味から、大学では言語学の研究室に入りました。さまざまな言語について学ぶなかで、授業で沖縄県の宮古島の言語に触れる機会があり、自分の知っている「日本語」とは大きく異なることばが話されていることに衝撃を受け、専門的な研究を志しました。
研究の位置づけ・社会との関わり
琉球列島を含め、日本国内でも、地域ごとに多様なことばが話されており、世界の諸言語の中でも珍しい特徴や興味深い特徴が見られることがあります。地域のことばの研究は、「人間の言語にはどのようなパターン、どのような仕組みがありうるのか」という問いに答えることに繋がると考えています。
研究対象としている地域のことばは、話す世代や話者数が限られる「消滅危機言語」です。今後、その地域のことばについて知りたいと思う人のために役に立つものになるように、と考えながら、データの収集・分析・公開を行っています。
研究と家庭
妻とは、研究を通じて出会いました。奄美大島出身で、敬語を中心にしつつ地域のことばの研究を行っており、共同で調査・研究をすることが多くあります。
特に娘が生まれてからは、育児を含め、妻の家庭での負担が多くなりがちですが、なるべく分担するように心がけています。研究も家庭のことも、お互いサポートしあって取り組んでいます。
研究と育児
娘は生後半年から、学内のひまわり保育園でお世話になっています。学会には妻と一緒に参加することが多いので、保育室が設置されている場合はそこで預かってもらっています。また、調査地では、自治体のファミリーサポートや、ベビーシッターを利用しています。これらのサポートのおかげで、研究に集中しやすい環境が得られていると思います。
娘がことばを習得していく過程を観察していると、さまざまな発見があり、父親としてだけでなく、言語研究者としても喜びを感じています。
メッセージ
研究も、教育も(育児も)、日々悩み、考えることばかりですが、それを楽しみながら過ごしています。
家庭・育児と研究を両立させることへのサポートは、徐々に充実してきていると思います。
何かを深く知り、考えることに興味がある方は、ぜひ、「研究者」という道を検討してみてください。
(2025年1月掲載)
*所属・職名等は掲載時点のものです。