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2025年度 広島大学富士登山隊の記録 /広島大学関東ネットワーク

思いつきから始まった富士登山

2025年4月8日、広大東京事務所に出向いて1975年の広島カープ初優勝時の興奮について話したついでに、「今年も富士登山にいく」と話したところ、千野所長から「ぜひ広大OBも連れて登ってはどうか」との話になり、過去10回の登頂経験を持つ私としては、うかつにも快諾してしまった。

早速、希望者を募ったところ10名も応募してきた。そこで、5月17日には参加予定者をズームでつないでオリエンテーションを実施した。富士登山は油断すると危険な山なのだ。また、今年から富士山登頂にはオンラインで事前登録し、注意事項に関するテストを受け、合格したら4000円の入山料の支払いも必要となった。また、山小屋で宿泊をしないと「弾丸登山」と見なされて入山させてもらえないなど面倒なことになっている。

今年の静岡県側の山開きは7月10日なので、台風などにぶつかればキャンセル覚悟で7月19-20日を登山実施日と決めた。そして参加予定者には十分な装備の準備と体力トレーニングの必要性を伝えた。 

いきなりトラブル発生? 

7月19日(土)12時にJR御殿場駅に集合して、登山バスで須走口五合目に行く予定だったが、何人かは新宿からのバス利用だったので到着が遅れた。そこで、須走口五合目の山小屋で集合することに切り替え、午後2時半には全員が五合目の山小屋「菊屋」(海抜2,000m)に集合した。驚いたのは、登山予定者ではない千野所長が、お菓子、栄養ドリンクなどを持って5合目まで激励に来てくれたことだ。察するに、発案者としての責任を感じたのだろう。

五合目山小屋前でランチをとり、山小屋から片道30分のところにある見晴台「小富士」まで足慣らしをした。そこで新たなトラブルが発生した。というのは、富士登山には「山小屋で一泊することが条件」となっている。一方、我々は19日夕刻17時から深夜23時まで6時間も山小屋で仮眠し、23時半に出発するが、それは同一日なので一泊したとは見做されず、「深夜零時以前の入山は弾丸登山とみなす」とのこと。「まじか!!」

しかし、午前零時を1秒でも過ぎれば翌日になるので「一泊した」と見做されるとの説明。「お役所の考えることは理解不能だなぁ」と呆れたが、そこは交渉に慣れた元商社マン、臨機応変な現場対応で切り抜けた。 

五合目小富士にて

深夜の登山開始

いろいろあったが、深夜、全員でヘッドライトをつけて登頂を開始した。真っ暗で細くて急な登山道を何度か見失いかけながらも、早朝4時過ぎには新六合目山小屋(2,450m)に到着し、4時半には千葉県房総半島方向から登る荘厳なご来光を全員で拝むことができた。

参加者の女性メンバーに「ご来光に何かお願いした?」と聞いたら「幸せになりたいとお願いした」という答えが返ってきたが、後期高齢者目前の私はあくまで現実的に、「夫婦円満」と「丈夫で長生き」をお願いした。

途中ですれ違った山岳ツアーガイドによると、「この日は今シーズンで最高の好天」とのことで、我々の普段の良い行いが報われた。ただ、この辺から体力の個人差が出てきて登るスピードが全く違ってきた。5時20分には七合目(2,925m)の山小屋「太陽館」に到着したが、そこで1名がギブアップして、皆の下山を約8時間も待ってもらうことにした。登山では無理は禁物で早めの決断が生死を分けることもあるからだ。 

御来光

太陽館前にて

11時間もの過酷な旅

富士登山11回目で案内人の私も寄る年波には勝てず、登山スピードは今回のメンバーでは最低レベル。そこで若い皆さんには先に登ってもらい、1歩20㎝の亀歩戦術で這うように前進した。その結果、6時20分には八合目「見晴館」(3,200m)に到着したが、前のグループは、案内役を平気で置き去りにして、姿が見えないくらい上を登っていた。

続いて8時40分には八号五尺「御来光館」(3,450m)に到着。本来なら、この時刻には富士山頂に到着するはずだったが、先は長い、いや長すぎる。ここら辺りでは、「富士登山なんかに来るのではなかった」と毎回のように後悔の気持ちが頭をもたげてくるが、今回は単独登頂ではないので簡単にリタイアもできず、死に物狂いで頑張って登り続けた。

9時半には九合目(3,580m)に到着。そこには廃墟となった山小屋跡があり、急に空腹を感じてオニギリをパクリ。その頃までには、若いメンバーはほぼ全員が富士山頂に到着し、余裕がある人は3,776mの最高峰「剣が峰」まで到達したようだ。

残る標高差は200メートルで山頂だが、ここからがキツイのなんの。一歩ずつを噛みしめながら進み、10歩進んでは1分休む超スローペースの登山となり、10時過ぎにやっと山頂入口の鳥居が目の前に見えてきた。ところが、最後の階段の段差が大きく、左脚太腿の筋肉が痙攣を始めたのだ。5~10分立ち止まって回復してから歩き始めたら、反対の太腿が痙攣。ということで、最後の30メートル進むのに20分近くかかったが、10時半に無事登頂に成功し、先に登って待っていた皆さんの歓迎を受けた。

ということで、標準登山時間が6-7時間のコースを今回は11時間もかかってしまったが、登頂成功の達成感は半端ない。そして、これまでの疲れを忘れて「来年も登るぞ」と決意してしまったのだ。 

剣ヶ峰

山頂

いよいよ下山開始でまたトラブル?

登頂で全力を使い果たしたので山頂で20分ほど仮眠して、いよいよ下山しようかと思ったら、実はメンバーのひとりが九合目辺りで動けなくなっているとの連絡が入った。頭痛がするとのことで高山病は間違いない。救助に向かおうと思ったが、富士山の場合は、登山ルートと下山ルートは別なので、我々は下山道で八合目まで下山し、そこで彼を待つことにした。

八合目で待っても彼はなかなか下りてこないので、元気なメンバーが九合目に迎えに(救助に?)いった。その一方で、私を筆頭とする足の遅いメンバーは先に下りて、七合目で待つメンバーに合流して休息をとった。そこで待つこと30分、なかなか降りてこない。その一方で、五合目から出る帰りのバスは18時で終了する。バスに間に合わないと高額料金のタクシーを呼ぶしかない。そこで、元気なメンバーを残して、年配者と女性の4人は先に下山することにした。

そこからは有名な「砂走」という砂利道で、尻もちをつきながら転がり落ちるように下山して15時半には「砂払い五合目」に到着。ゴールの「須走口五合目」までは40分の場所にある最後の休憩所だ。

そこで待っていたら後発組が下りてきたので、18時発の最終バスに間に合うことが確実となり安堵し、16時45分には全員揃って砂払い五合目をスタート。急で岩場だらけの道を40分で下山し、17時半前には全員が無事ゴールした。そして、18時のバスで御殿場口に向かった。

19時に御殿場口に到着したが、元気な若者と中年は、駅前の居酒屋で打ち上げ会をやったとか。ヘロヘロで脚はヨレヨレの私は最初の電車で3時間かけて千葉の自宅に戻ったら、22時過ぎだった。

長い一日だったが、全員が無事下山できたのが最大の成果。大好きなビールを飲んで爆睡した。

下山道

八合目付近

結論

富士山は日本人なら生涯に一度は登る価値のある山だ。若くて元気なうちにぜひ一度登頂されることを強くお勧めしたい。非日常的な強い充実感と達成感を味わうことは確実なのだ。 
 

案内役:西川裕治

1976年工学部(電子)及びESS部卒(74歳)

無事下山

参加者コメント

・はじめての富士登山を幅広い年代の同窓生とともに経験できたこと、大変嬉しく、充実感に包まれております。日本一の山に登ることのできた達成感、孤峰特有の開けた景色、山路での皆さまとの楽しい会話、何もかもが素晴らしい思い出になりました。
(相京 辰樹 2025年3月 医学部医学科卒業)

・人生で一度は登りたいと思っていた富士山、同窓生の皆さまと登頂でき、とても素晴らしい経験となりました。体力的には登頂までも下山後もしんどかったですが、それでもまた登りたいと思うほどの魅力が富士山にはあります。皆さんもぜひチャレンジしてみてください!
(磯部 菜月 2025年3月 法学部卒業)

・富士登山、ご来光、素敵な同窓生の方々との出会いなどなど、とても貴重な体験ができました。初めての富士登山として忘れられない思い出になりました!
(金口 喬也 2025年3月 総合科学部総合科学科卒業)

・東京オフィスと西川さんのサポートにより、登頂することができました。今後は別のルートで再登山したいです。
(K.K.)

・しんどい道のりでしたが、登頂の達成感と非日常の景色、皆さんとの出会いが素晴らしい思い出になりました。挑戦してよかったです!
(迫 佳沙音 2025年3月 法学部卒業)

・東京オフィスと西川さまのおかげで、富士山登頂の機会を頂き感謝しています。無事に登頂できて、一生の思い出になりました!
(高柴 公宏 1986年3月 法学部卒業)

・美しい星空や御来光、可愛らしい植物等に感動したと共に、これからも心動くような体験を大切にしていきたいと感じました。また登頂後は、少しだけ強くなれたような気がしました!!
(續 諭果 2025年3月 法学部・法学科卒業)

・満天の星空、一面の夜景、山中湖に昇る朝日…絶景の連続で、最高の経験をさせていただきました。いつかは!と思っていた機会をいただけたこと、本当に感謝しております。
(M.M. 2007年3月 文学部人文学科卒業)

<お問い合わせ先>
広島大学東京オフィス
TEL:03-6206-7390
E-Mail:tokyo(AT)office.hiroshima-u.ac.jp ※(AT)は半角@に変換して送信してください。


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