片岡義久(国土交通省 気象庁 内定)

(インターンシップ先:国際協力機構(JICA)マカッサルフィールドオフィス(2008年度))

 

私は、2009年2月中旬から1ヶ月間、インドネシア共和国マカッサルにおいてJICA事務所(MFO: Makassar Field Office)のインターンシップに参加した。
MFOは常に慌しく、現地で活躍する特定分野の専門家や青年海外協力隊の方々が事務所を出入りし、各々のプロジェクトに関する会議を行い、それらのプロジェクトの進捗状況を取りまとめる仕事を毎日のように行っている。私は、その中でスラウェシ地域能力開発向上プロジェクトの活動について学んだ。

このプロジェクトの目的は、簡単に言えば現地の住民が自分達の技術や能力だけで持続可能な地域開発を行うために必要な能力を養うことである。そのプロジェクトが実行され機能するために、MFOの方々や専門家が現地住民、現地の幹部といったキーパーソンと話し合い、時には会議、講演、パイロット事業などを開いて奔走している実情を見学し、一部ではあるがこれに協力することが出来た。
私はもともと気象観測に興味があったので、事務所の方のご配慮で、プロジェクトの合間に現地の気象台に行くことができた。そこで、「気象観測システムを先進国から導入したがうまく機能しなくなり、その解決方法がわからなくて困っている」という話を現地スタッフから聞くことができた。まさに、それは私が体験したかったインターンシッププロジェクトの目的そのものであった。気象現象を取り扱うにはデータの質が重要であり、気象には国境がないので、世界全体での質が揃っていないと使い物にならない。このインターンシップによって、気象分野において国際協力が重要な部分を占めていることに気がつき、修士課程修了後は気象関係の仕事に就き、このような問題を解決する機会を得たいと思うようになった。

インターンシップから帰国した3月末から就職活動を始めたが、実を言うと気象庁を受けるにおいて自分の学力が遥かに足りないのではないか、また気象庁で働く方々の多くは理学部出身(私は工学部出身)であると聞いて、初めから駄目なのではないかと、かなり弱気になっていた。ところが、その後の国家公務員採用試験(Ⅰ種理工Ⅲ、Ⅱ種物理)は合格することができたので、必然的に気象庁での採用を目指すことになった。官庁訪問では、インターンシップで体験したことを気象庁の志望動機に含めて話したところ、国際協力という視点で気象分野の発展を考える学生は少ないようで、面接官の方が興味をもって聞いてくださった。Ⅰ種の採用試験では最終面接で落ちたものの、Ⅱ種での採用に至ることが出来た。
研修期間は1ヶ月と短かったものの、国際協力の必要性を明確に感じることができ、将来の気象分野の発展を考えるうえにおいて自分のモチベーションを向上させる本当に良いきっかけになったと感じている。


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