興味を持ち続ける

三浦 道子 教授

基本情報

  • 所属又は配属:大学院先端物質科学研究科
  • 職名:教授
  • 専門分野:電子デバイス/半導体物性

研究者になるまでの軌跡

 大学1年生の秋、クラブ活動を終えて暗くなって帰っている時に、図書館からかばんを下げて出て来られた初老の小柄な女性を見かけました。この方は、荘司雅子教育学部教授ということを一緒に帰っていた教育学部の友人から聞きました。その時はすごいなと思ったこと以外に、彼女を目指したいなど思いもしませんでした。静かな、謙虚な方だったと記憶しています。
 その後、何かをちゃんと知りたいという願いにつられて博士課程まで進み、その頃には、何故結晶が同じ元素で出来ていながら、全く異なるように見えるのだろうという疑問を解明してみたいと思うようになりました。
 博士になった後に、結晶分野で有名なドイツ・マックスプランク研究所にトランク一つ下げて出掛けました。ここには同じような仲間が世界中から集まっており、いろいろな考えでいろいろやっていることが面白かったです。このような連中と一緒にご飯を食べたり、お茶を飲みながら議論したりしながらじわじわと、研究ということが私の仕事と思えるようになってきました。
 会社の研究所に移ってからは、研究の対象は結晶からトランジスタに変わりましたが、それでも、勝手気ままに動いているように見える電子は、本当は何によって動かされているのだろうかと解明を続けました。今では学生達と、分かったことをコンピュータプログラムという形にまとめて、世界に発信しています。これが世界のあちこちで使われて、様々な製品を生み出す支えになっています。世界中から問い合わせのメールが来ます。間違っているという指摘を受けることもあります。そんな時には、とことん議論することによって、お互いに正しいことを理解し合います。

学生に対するメッセージ

 研究者になることは大変で、いろいろな楽しいことを諦めないといけないと思うのは正しくないです。人間は普通の生活をしている中で、何故だろう、面白い、といつも感じています。
 私は今、数十年後に荘司雅子先生の後をたどっていますが、諦めなければ、興味を持ち続ければ、自然とそんな道を歩むことになると実感しています。

(2010年11月掲載)
*所属・職名等は掲載時点のものです。

 


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