研究も子育てもバランスよく

吉田 香奈 准教授

基本情報

  • 所属又は配属:教養教育本部
  • 職名:准教授

研究者になるまでの軌跡

 専門は教育行政学・高等教育論です。教育の機会均等という課題に大きな関心を持ち、大学進学の格差を是正する経済的支援策について研究をしています。現在、日本には約1,200校の高等教育機関、2,800校の専門学校があり、350万人以上の学生が学んでいます。18歳人口に占める進学率は上昇傾向にあり、2015年度には大学・短期大学進学率は56.5%、高専・専門学校まで含めると79.8%にのぼっています。しかし、保護者の年収が低いほど4年制大学への進学率は低く、就職する割合が高くなっているのが現状です。近年、日本学生支援機構の奨学金は急速に拡大していますが、これはすべて貸与であり、将来的に返還しなければなりません。家計の経済力に関係なく安心して高等教育を受けることができるよう、学生への経済的支援を充実させていく必要があります。
 以上のような関心を持ち日々研究に取り組んでいますが、大学院生のころは自分が研究者に向いているのだろうか、と悩んだこともありました。しかし、研究テーマへの強い関心に支えられて、不器用ながらもコツコツと研究を続けるなかで大学に職を得ることができました。

学生に対するメッセージ -出産、育児、単身赴任、研究、両立-

 近年、男女共同参画の取り組みが進み、大学教員として働く上で男女間の格差はなくなってきているように思います。ただ、女性教員が出産した場合、研究時間が確保しにくくなるのは避けられません。乳幼児の育児は驚くほど手がかかります。子どもが小学生になると少しは楽になりますが、やはり研究時間が制限されることには変わりありません。しかし、最近は子育て支援の制度が充実しており、これらをフル活用すればかなりの時間を確保することができます。普通の日に東京で行われる研究会や会議に日帰りで出席することも可能です。
 我が家には小学生の子ども(2016年2月時点)が2人います。夫は同業者で単身赴任7年目。普段は私が家事・育児を一手に引き受けています。実家は両方とも遠方にあり、気軽に応援を頼むことはできません。このような状況でも、これまで保育園(学内・学外)、学童保育(学内・学外)、病児保育、ファミリーサポートセンターなどをフル活用することで仕事と家庭のバランスを保ってきました(ちなみに,広島大学の子育て支援は充実しており、学内に保育園や学童保育があります。大変心強いです)。家に仕事を持ち帰ることもしばしばですが、どこでも仕事ができるのが文系研究者のいいところです。
 研究者を目指している学生の皆さん、このような状況でもなんとかなりますから心配ありません。安心して研究に励んでください。

(2016年6月掲載)
*所属・職名等は掲載時点のものです。


up