好きなことを仕事にする−無理のない生活を!

三時 眞貴子 准教授

基本情報

  • 所属又は配属:大学院人間社会科学研究科 
  • 職名:准教授

研究と家庭生活との両立

 今年(2020年)の9月で結婚22年目を迎えました。私が結婚したのは本学大学院教育学研究科のD1生の時でした。夫は、学部一年生の時から付き合っていた一学年上の先輩で、卒業後は広島郵政局に勤めていました。いわゆる学生結婚です。
 私の専門はイギリス教育史ですので、調査のために毎年1ヶ月ほど渡英していましたし、月に数回、週末に学会や勉強会に参加していたのですが、学生時代をずっと一緒に過ごしたので特に驚かれたりすることもありませんでした。何より私が研究好きなのを認めてくれていたため、結婚後も私はそのまま研究生活を続けました。
 最初は結婚したのだからと、働いていた夫に合わせて、規則正しい生活を心がけていました。しかし当時は、発表や論文の締め切り前に徹夜することもあり、彼の生活リズムに合わせることは早々に諦めました。結局は、お互いに無理のない生活リズムを作り出すことになったのですが、生活が変わるごとに、それは何度も修正することになりました。
 私は助手を経て、熊本で初職につきました。そのため別居を余儀なくされました。この時も、夫は研究者が就職先を選ぶことは難しいと知っていたため、特に揉めることもなく祝福してくれました。その後、夫が熊本に異動になったため同居生活に戻りました。3年後、私が別の大学に移ったため、二度目の単身赴任生活となりました。結局、夫が「やってみたいことがある」と仕事を辞め、再び同居生活となりました。結婚10年目にして息子を授かり、夫はそれまでの人事の職を生かして、派遣会社の面接官を経て、社会保険労務士となりました。今は、広島労働局に籍を置き、県内の会社や病院で研修の講師をし、働き方改革の専門家として雑誌や新聞に寄稿することもあります。
 相変わらず私は毎年渡英しますし、毎月週末の半分は出張で家を開けます。その間、夫は息子と二人暮らしになりますが、新生児の頃からミルクをあげ、おむつを変えてきたので、たまに文句を言うこともありますが、仕事の調整をして送り出してくれます。

 

学生に対するメッセージ

 二度の単身赴任生活をしつつも、そして時にぶつかりながらも、楽しく結婚生活を続けられたのは、どれだけパートナーが研究生活の「異常性」を気にせずにいてくれるかにかかっている気がします。そしてまた、自分が好きなことを仕事にしているように、パートナーも自分のしたい生活を続けられるように、お互いに調整し合うことが何より大事だと思います。無理をしても続きません。
 子育てをしていると、日々壁にぶつかりますし、慣れないことばかりで毎日、感情も揺れ動きます。研究に仕事に家事に子育てに、やることは山積みです。失敗も後悔もたくさんしましたが、それも私らしいと受け止めています。全てを完璧にするなんて私には無理です。
 人生は予測不能で、今こうして三人で広島に暮らしていることも、偶然の産物であると同時に、二人が目の前のことを選択していった結果でもあります。「・・・しなければいけない」と自分を縛らずに、その時々で、優先順位を変えながら、長い目で自分の人生を作り上げていけばいいのではないかと思います。
 人によって心地よく暮らせる方法は違います。試行錯誤の間は、焦ることも先走ることもあると思いますが、それもまた自分だと思って、自分を認めて、自分に正直に人生を作り上げていってください。

(2020年9月掲載)
*所属・職名等は掲載時点のものです。


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