大学院人間社会科学研究科
教授 角谷 快彦
E-mail:ykadoya*hiroshima-u.ac.jp (注: *は半角@に置き換えてください)
本研究成果のポイント
2019年9月に、広島市のつばめ交通(株)等の協力を得て行った実験結果(※)を用いて、タクシードライバーの感情が運転速度にどのように影響を与えるかを、ドライバーの年齢、性別、学歴、所得、婚姻状況等の社会経済変数をコントロールした上で分析しました。
なお、感情推計にはTDK(株)が開発した生体計「SilmeeW20」および日本電気(株)が開発した「感情分析ソリューション」を用いました。
- ドライバーの怒りと悲しみの感情がスピード超過に寄与することを明らかにしました。
- ニュートラルな感情はスピード抑制に寄与しました。
- 幸福やリラックスの感情は運転速度に影響を与えませんでした。
- 接客時間(乗客を乗せて走る時間)の長さや実験期間中の売上の大きさはスピード増に、個人収入や世帯資産の大きさおよび勤務時間の長さはスピード減の要因となりました。
(※)つばめ交通(株)ドライバーの協力を得て調査を実施。
【調査方法】無作為に抽出した15人のドライバーに社会経済的属性(学歴、年収等)を問うアンケート生体計を身に着けたまま15日間勤務してもらい、その間の運転記録と照合。
【調査時期】2019年9月12日~26日
概要
広島大学大学院人間社会科学研究科経済学プログラム 角谷快彦教授らの研究グループは、全国健康保険協会(協会けんぽ)広島支部、つばめ交通株式会社、日本電気株式会社(NEC)、TDK株式会社の協力を得て、勤務中の運転速度と感情の関係を分析しました。結果、運転時に怒りや悲しみの感情がある時に運転スピードを超過するリスクがあり、感情がニュートラル(≒平常心)のときにスピードが抑制されることを明らかにしました。
用語説明
- SilmeeW20:TDK(株)が開発したウェアラブル式生体センサ (TDK(株)に移動します)
- 感情分析ソリューション:日本電気(株)が開発した感情分析 (日本電気(株)に移動します)
論文情報
- 掲載誌: Transportation Research Part F: Traffic Psychology and Behaviour
- 論文タイトル: How is emotion associated with driving speed? A study on taxi drivers in Japan
- 著者名: 角谷快彦1、ワタナポンヴァニッチ ソンティップ1、カン ムスタファ1
1. 広島大学大学院人間社会科学研究科経済学プログラム - DOI: https://doi.org/10.1016/j.trf.2021.04.020