大学院人間社会科学研究科 教育学プログラム 高等教育学コース
教育学習支援センター
高等教育研究開発センター
准教授 櫻井勇介
sakurai[at]hiroshima-u.ac.jp
(注: [at]は半角@に置き換えてください)
本研究成果のポイント
- 日本に限らず、世界の高等教育機関は、グローバル化の進展に伴い、母国を離れ職務に携わる大学教員スタッフにサポートを提供することが求められています。
- しかしながら、外国人若手研究者の業務への望ましい関与の態度を左右する要因について、体系的に研究されたものはほとんどありません。
- この研究は「Job Demands-resources」モデルに基づき、職場環境の重要な要因 (仕事量のコントロール、学術的サポートのシステム、同僚関係) が、外国人若手研究者の所属機関での就業継続意志、所属意識、ストレス状況にどのように関連しているかを調べました。
概要
本研究は、本学の人間社会科学研究科 (教育学習支援センター) の櫻井勇介准教授が進める研究プロジェクトの成果であり、日本の高等教育機関に勤務する305人の外国人若手研究者を対象として実施され、構造方程式モデリング分析を通して、とりわけ同僚関係がより良好な人ほど、所属意識が高く、就業継続意志就業継続意志が高く、ストレスが少なかったことが示唆されました。
また、仕事量を自分でコントロールできる場合、ストレスが少なくなることも示唆されました。しかしながら、仕事量をコントロールできる程度と学術的サポートの状況は、所属機関での就業継続意志や所属意識には有意な影響を与えていないようでした。
この研究は、現代の高等教育機関でグローバル人材をサポートするための貴重な示唆を提供するものです。例えば、日本の大学が英語による教育プログラムを拡充し、外国人研究者を増加させている近年において、多様な研究者が前向きに職務に携わるためには、機関のメンバー間の同僚関係を促進するための適切な体系的な取り組みが重要であることが示されました。
外国人若手研究者の主な職務環境要因
外国人若手研究者の職務への関与の態度を3つの指標で測定
論文情報
- 掲載誌等の名前:Asia Pacific Journal of Education
- 論文等タイトル:Work Environment Factors Affecting Foreign Early Career Researchers’ Intention to Stay, Sense of Belonging, and Stress
- 著者:櫻井勇介 (広島大学・教育学習支援センター)、メイソン シャネン (長崎大学・教育学部)
- 出版社:Taylor & Francis
- DOI:https://doi.org/10.1080/02188791.2023.2198159
- プレプリント:https://doi.org/10.35542/osf.io/9hxyq