大学院人間社会科学研究科 国際教育開発プログラム
教授 馬場 卓也
takuba[at]hiroshima-u.ac.jp
(注: [at]は半角@に置き換えてください)
UNESCOのGlobal Education Monitoring Reportに、国際教育開発プログラムの馬場卓也教授およびJICAの又地淳国際協力専門員の論文が、バックグラウンドペーパーとして紹介されました。
当該論文では、広島大学が1990年代からJICAと協力しアフリカで展開してきた理数科教育支援について、西洋の支援国とは異なる「現地のオーナーシップを重視したアプローチ」が説明されています。具体的には、教師教育や学校運営における実践的事例を紹介し、その意義と今後の課題を論じています。
【背景】
UNESCOは、世界的な教育目標(Education for AllやSDG4「質の高い教育をみんなに」)において中心的な役割を担っており、その年次報告書である「Global Education Monitoring Report(GEMレポート)」は、SDGsの教育分野のターゲット達成を支援するために、政策立案や優良事例の共有、各国の教育に関する取り組みの進捗を監視し、評価する役割を果たすことを目的に発行されています。2002年にUNESCOによって発行が開始され,2015年の世界教育フォーラムにて、160か国から教育の進展を監視する役割を委任されました。編集の独立性が保たれており、政府や専門家、市民社会など広範な利用者に向けた重要な情報源として機能しています。
本学では、教育開発国際協力センター(CICE)がUNESCOとの共同で(吉田和浩教授翻訳監修)、2017年以降GEMレポートの日本語訳版を出版しています。
2024年は"Spotlight on basic education completion and foundational learning in Africa, 2024: learning counts"をテーマとして年次報告書が発行されました。
バックグラウンドペーパーとは、報告書を補完するための研究論文やデータ分析をまとめた学術文書です。報告書のテーマに関連する専門的知見や実証データを提供しており,報告書そのものの理論的基盤を支え,学術的信頼性を高める役割を持っています。年次報告書のバックグラウンドペーパーとして紹介されることは、その論文が報告書の理論的基盤となることを意味し、国際的に大きな影響力を持つことを示します。
今回のような形で日本の事例がGlobal Education Monitoring Reportに大きく取り上げられることは初めてであり、日本の教育協力の独自性が国際的に評価された結果であるといえます。また、広島大学とJICAの活動が世界において有益な知見を提供するものとなっています。
論文・関連URL情報
- UNESCO Global Education Monitoring Report 2024
- バックグラウンドペーパー
タイトル:Japanese international cooperation has supported primary mathematics programmes in Africa for more than two decades
著者:馬場卓也(人間社会科学研究科 教授)、又地淳(JICA 国際協力専門員) - 研究者ガイドブック(馬場卓也教授)
- UNESCO Global Education Monitoring Report 日本語版