『台湾愛国婦人』という文学場―〈帝国〉日本のプロパガンダと女性―

本書の考察対象は、日本統治下台湾刊行『台湾愛国婦人』(愛国婦人会台湾支部、1908~1916)である。この雑誌の刊行時期は第5代総督佐久間左馬太による台湾山地への武力制圧「理蕃五カ年計画」に重なる。すなわち、台湾総督府が「山地討伐」という名の戦争への後援を女性たちに求めて相当な資金と人力をつぎ込んだメディアが『台湾愛国婦人』であった。よって、本誌は台湾総督府の政策履行のためのプロパガンダとしての役割を第一義とするが、〈内地〉の著名な知識人、作家たちの寄稿も数多く、文芸総合雑誌と見まがうような相貌を持つ。本書はこの肥大化した文学場の諸相から、プロパガンダと文学、女性表象との関わりについて考究し、全集著作集未収録の新資料についても紹介を行った。
著者 | 下岡友加 |
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出版社 | 三人社 |
出版年月 | 2025年2月28日 |
ISBN | 978-4-86691-797-9 |
値段 | 定価(本体 5,800円+税) |
種類 |
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広島大学大学院人間社会科学研究科
下岡友加
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