分子病理学

三井 伸二 教授

【研究キーワード】
腫瘍病理学、間質病理学、がん関連線維芽細胞、包括的ゲノム・トランスクリプトーム解析、消化器がん、新規診断・治療開発、がん幹細胞、ゲノム編集

【最近のハイライト】
病理学は疾病の原因・病態を究める統合の医科学であり、医学・医療の根幹をなしています。分子病理学研究室では、基礎医学として病態に根ざした先進的・探索的・応用的な病理学的研究を臓器横断的に行っています。加えて、臨床医学における診断の要である病理診断を実践し、病理専門医の育成にも尽力しています。
これまでの分子病理学的研究から、新規診断・治療標的を同定するとともに、新規がん幹細胞マーカーとしてKinesin遺伝子群の関与する発がん機構の解明に貢献してきました。
また、近年ではゲノム・トランスクリプトーム解析についても積極的に取り組む一方、従来の免疫組織化学的解析の利点を活用した、がん・間質境界領域における解析を行っています。特に、扁平上皮癌で高発現するがん促進因子として同定されたCD109が、脳腫瘍、肺腺癌、膵癌、骨肉腫など多くのがんに臓器横断的に関与することを報告してきました。例えばCD109は肺がんにおいて、間質への浸潤を促進することが明らかになっており、上記のような解析結果を元に、腫瘍進展機構の解明や生体の恒常性維持への影響について研究を行っています。

研究者総覧へのリンク

教育内容
学部教育:基礎病理学として、疾患の概念・発生機序・診断と治療との関連を理解するために、病理形態学的な病変の把握から遺伝子・分子レベルの異常の認識まで基礎的知識について教育します。臨床実習では、適切な医療を推進するため、病理診断・細胞診・病理解剖の概要、病理医の役割、症例の解析・提示法などについて教育します。医学研究実習では、実際にがんの実験病理学的研究を行ないます。
大学院教育:分子病理学・腫瘍病理学、特にがんの発生・進展の病理学的解析、および、がん間質に着目した間質病理学に関する教育を行ないます。消化器がんをはじめとする種々の悪性腫瘍の分子病理学実験を通して、実験手技・データ解析、英文科学論文作成能力を習得することができます。一方、病理専門医取得に向けて、研修マニュアルに基づき関連病院と連携して専門医教育を行います。

研究内容

  1. 腫瘍進展機構の機能形態学的解析
  2. 「がん幹細胞」の役割に関する分子病理学的研究
  3. 新規がん関連分子の腫瘍病理学的解析
  4. がん関連線維芽細胞に着目したがん・間質境界領域の解析
  5. 生体の恒常性維持に関する間質病理学的研究


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