【研究キーワード】
脳血管障害、アルツハイマー病、神経変性疾患、神経超音波検査、バイオマーカー
【最近のハイライト】
脳血管障害動物モデルの組織学的な検討では、虚血再灌流のストレスにより生じるタウ蛋白の異常という観点から見ると、脳血管障害とアルツハイマー病の病理に共通点が多いことが判明しました。またアルツハイマー病患者脳内に観察される「顆粒空胞変性」および封入体筋炎の筋肉で陽性となる「縁取り空胞」の両者でWnt シグナル関連分子が局在し、両疾患でWntシグナルの異常が影響していることを明らかにしました。
当研究室で中央事務局を担ったJ-STARS研究のサブ解析では、スタチン介入による脳卒中再発予防においてLDLコレステロール値80-100mg/dLが最もイベント抑制効果を期待できることを示しました。気象との関連では、脳梗塞は前日から当日の気温変化0.99℃以上により発症が増え、脳出血は当日の気温23.8℃以上で発症が減ることを明らかにしました。脳梗塞患者側の要因として、低栄養(CONUT score)や貧血が機能的転帰に影響することを示しました。炎症や凝固に関連するα2マクログロブリンが脳梗塞急性期患者で高値を示し、この値は深部白質病変の程度や加齢と相関しており、さらに血管内皮機能に関連することを明らかにしました。
ALS・脳梗塞いずれにおいても、舌圧21kPaを下回ると嚥下障害が増え誤嚥性肺炎発症も多くなること、また誤嚥性肺炎予防として、歯科医を含めたチーム医療による介入が重要であることを示しました。