分子内科学

服部 登 教授

【研究キーワード】
(呼吸器内科グループ)
PAI-1、KL-6、siRNA経気道的投与、間質性肺炎、肺癌、COPD、喘息、大久野島毒ガス傷害研究

(内分泌・糖尿病内科グループ)
在米日系人医学調査、原発性アルドステロン症、褐色脂肪細胞、糖尿病遠隔医療

【最近のハイライト】
(呼吸器内科グループ)
・第5代教授として服部 登 教授が就任(2017年2月)
・服部 登 准教授が難治性呼吸器疾患への線溶系抑制因子の関与の解明とその分子標的治療の開発に関する業績に対して熊谷賞(日本呼吸器学会賞)を受賞(2015年4月)

研究者総覧へのリンク

教育内容
(呼吸器内科グループ)
呼吸器疾患は腫瘍性疾患(肺癌など)、アレルギー疾患(喘息など)、自己免疫疾患、感染症からいわゆる生活習慣病(COPD、閉塞性睡眠時無呼吸症候群など)まで非常に多岐にわたる。それぞれの分野で高い専門性が求められる一方で、多彩な疾患分野に対する幅広い知識と経験が求められる。当教室では、多くの関連施設と連携して、基本的で応用の利く医療技術を幅広く習得でき、更に呼吸器内科医として必須の技術を身に付ける専門研修プログラムを組んでいる。

(内分泌・糖尿病内科グループ)
内分泌代謝疾患とは「ホルモンの異常によってもたらされる病気」であり、各種ホルモンの分泌臓器は全身に分布し作用する組織も広範である。それら疾患は糖尿病や脂質異常症のような患者数の多い疾患から稀な疾患まで多岐にわたる。全身に症状や徴候が出現しあらゆる診療科との関連があるため、臨床医としては正しい知識を習得する必要がある。
多岐にわたる内分泌代謝疾患についての理解を深め、臨床医にとって基本的な知識を習得することが目標に教育を行っている。

研究内容
(呼吸器内科グループ) 研究内容の詳細はこちら
1.Plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)に関する研究
線溶系の阻害因子であるPAI-1が間質性肺炎、気管支喘息、肺癌など種々の呼吸器疾患の病態形成に関わっていることを明らかにしてきました。

2.Krebs von den Lungen-6(KL-6)に関する研究  
世界初の間質性肺炎の血清マーカーであるKL-6を開発し、その基礎から臨床まで幅広い研究を行ってきました。

3.種々の臨床研究
厚生労働省の研究班による班研究に積極的に参画しています。また、気道抵抗検査や誘発喀痰検査などを用いた閉塞性肺疾患やびまん性肺疾患の臨床研究、多施設共同でのCOPDの疫学研究なども行っています。加えて、JCOGやWJOGで実施されている肺癌の臨床試験にも参加しています。

4.毒ガス傷害者に関する研究
竹原市大久野島の旧陸軍毒ガス製造工場で毒ガスに暴露された旧工員などのいわゆる毒ガス傷害者を対象としたコホート研究を初代和田教授の代から継続して行い、数多くの報告をまとめてきました。

(内分泌・糖尿病内科グループ) 研究内容の詳細はこちら
1.在米日系人医学調査「ハワイ-ロサンゼルス-広島スタディ」
日系米人は日本から米国に移住したその瞬間から突如米国式の生活習慣に曝されており、日本に在住する日本人のいわば近未来像と言えます。我々は、1970年から長期に亘り、ハワイやロサンゼルス在住の日系米人を対象とした医学調査を継続して行っています。遺伝素因は純粋な日本人でありながら米国式の生活習慣である日系米人と、同時期の広島在住日本人の調査成績とを比較分析することにより、生活習慣の欧米化という環境要因の変化が日本人の疾病構造に与える影響について報告しています。

2.副腎腫瘍に関する研究
副腎腫瘍におけるアルドステロンやコルチゾールの合成機構を同定することにより、原発性アルドステロン症やクッシング症候群の病因および病態解明を目指した臨床・基礎研究を行っています。さらに、それらの結果から得られた知見をもとに、副腎皮質ホルモン合成を制御する新規創薬を行い、臨床に役立てることを計画しています。

3.褐色脂肪細胞と全身の代謝に関する研究
褐色脂肪細胞の分化や機能制御に関する研究を細胞実験や動物モデルを用いて行っています。また、褐色細胞腫や甲状腺機能亢進症といった病態を詳細に検討することで褐色脂肪細胞が全身の代謝に与える影響につき理解を深め、将来的には肥満や糖尿病といった様々な代謝疾患の治療に褐色脂肪細胞を役立てることを計画しています。

4.IoTやICTを活用した糖尿病遠隔医療
広島県の糖尿病医療過疎(糖尿病専門医不在)地域のかかりつけ医療機関に通院する糖尿病患者に対して、IoTやICTを活用したネットワークシステムを構築し、広島大学「ひろしまDMステーション」から生活習慣の遠隔介入(食事や運動の遠隔指導)を行う研究を推進しています。非専門医の糖尿病治療を補完し、県内全域に質の高い均一化した糖尿病医療を提供することを目的としています。

【写真説明】 年2回程度開催中のクイズ形式のセミナー
コロナ禍でも現地参加とオンライン参加のハイブリッド形式で開催しました。

【写真説明】 2015年8月ロサンゼルスにて第23回目となる検診を行いました。
写真は検診会場の広島県人会館前。


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