産科婦人科学

工藤 美樹 教授

【研究キーワード】
妊娠高血圧症候群、早産、婦人科腫瘍、胎盤、薬剤耐性、トランスポーター

【最近のハイライト】
産婦人科の最新の研究成果として、胎盤形成に関わる新規タンパク:サプレシンに関する論文(Sugimoto et al, Sci Rep, 2019、Sugimoto et al, Int J Mol Sci, 2021)、脱落膜に発現するIDO1タンパクの新規機能を提示した論文(Kudo et al, J Reprod Immunol, 2020、Kudo et al. Int J Tryptophan Res. 2020)、卵巣癌における薬剤耐性のメカニズムを明らかにした論文(Koh et al, Cancer Genomics Proteomics, 2019)を報告しました。
サプレシンに関する研究では「内在性レトロウイルス由来細胞融合抑制遺伝子を欠損したマウスは胎盤形成異常と胎児発育不全を示す」が第29回日本胎盤学会学術集会で相馬賞を受賞しました。歯周病と周産期異常(早産、妊娠高血圧症候群)に関する研究成果は、第69回、第70回、第73回の日本産科婦人科学会の高得点演題に選ばれ、第69回ではCongress Encouragement Awardを受賞しました。「ニコチンの経胎盤性移行の機序解明と栄養輸送への影響の解明」に関する研究は、第43回日本女性栄養・代謝学会学術集会の優秀演題賞を受賞しました。
現在、上記研究の他に Oxford大学のProf. Vatish, Dr. Cerdeiraとの共同研究「sFlt-1/PlGF比を用いた妊娠高血圧腎症の発症予知」も継続中です。
また、卵巣明細胞癌に対してアミノ酸トランスポーターを標的とした新規治療戦略の開発や、大学院統合生命科学研究科 基礎生物学プログラム・大学院 細胞分子生物学・大学院 放射線腫瘍学との共同研究として「婦人科癌における生物学的解析と医療画像を用いた人工知能 (AI) による新規診断・治療効果予測システムの構築」に取り組んでいます。

研究者総覧へのリンク

【教育内容】
産科婦人科学における教育内容は、講義を通して妊産婦や婦人科疾患の病態、診断、治療法などを理解することを目標としています。
周産期、婦人科腫瘍、生殖・内分泌、女性ヘルスケアの4領域を中心に幅広く学びます。産科学ではとくに女性の一生においての大きなイベントである妊娠・出産についての正しい知識を習得し、妊娠・分娩時の異常を学びます。また、婦人科学では解剖、内分泌環境、腫瘍性病変等について学びます。
臨床実習では病棟診療や外来診療、病棟カンファレンスを体験し、妊産婦や婦人科疾患患者への問診と必要な診察・検査などを考え、疾患の診断や治療法決定のプロセスと適切な対応を具体的に学ぶことができます。手術に参加し骨盤内の解剖を理解するとともに手術の基本的手技を習得することができます。

【研究内容】
周産期部門

1. ヒト胎盤に関する研究
2. 歯周病と周産期異常の関わり
3. 血管成長因子と妊娠高血圧症候群発症との関わり
4. ニコチンの経胎盤性移行の機序と栄養輸送への影響

婦人科部門
1. 卵巣癌における薬剤耐性の獲得機序の解明と新規治療の開発
・卵巣粘液性癌における CDX2 の発現と薬剤耐性獲得の解明
・卵巣明細胞癌におけるアミノ酸輸送系の解析と新規治療に関する研究
2. 子宮内膜細胞診におけるmiRNAの有用性の検討
3. 婦人科癌における生物学的解析と医療画像を用いた人工知能 (AI) による新規診断・治療効果予測システムの構築(大学院統合生命科学研究科 基礎生物学プログラム・大学院 細胞分子生物学・大学院 放射線腫瘍学との共同研究)

【写真説明】 産科婦人科学実験室


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