【研究キーワード】
妊娠高血圧症候群、早産、歯周病原菌、婦人科腫瘍、胎盤、薬剤耐性、トランスポーター、オルガノイド、AI、センチネルナビゲーション手術、子宮移植
【最近のハイライト】
産科婦人科学は、周産期、腫瘍、内分泌、女性ヘルスケアの4領域に代表される広い研究領域をカバーしています。広島大学産科婦人科の最新の研究成果として、歯周病原菌による慢性炎症と早産との関わりを明らかにした論文(Teraoka et al, Biomolecules. 2022)、LAT1トランスポーターの特異的阻害剤に着目し、卵巣がんへの抗腫瘍効果を検討した論文(Sekine et al, Anticancer Research. 2023)、細胞融合抑制タンパク:サプレシンの発現調節機構を明らかにした論文(Sugimoto et al, Biomolecules. 2023)、妊娠時の免疫応答に深く関わる分子IDO1のこれまでの研究結果をまとめた論文(Kudo et al, Int J Mol Sci. 2024)を報告しました。
特にサプレシンに関する研究は、第75回日本産科婦人科学会学術集会シンポジウム、第76回の同学会高得点演題に選ばれ、さらに歯周病と周産期異常(早産、妊娠高血圧症候群)に関する研究成果は、第73回の日本産科婦人科学会の高得点演題に選出されています。
また、婦人科において我が国で増加傾向を示す予後不良な癌の制圧は急務です。日本人に多い予後不良な明細胞癌に対してメタボロームに着目したアミノ酸トランスポーターを標的とした新規治療戦略の開発や、大学院統合生命科学研究科 基礎生物学プログラム・大学院 細胞分子生物学・大学院 放射線腫瘍学との共同研究として「婦人科癌における生物学的解析と医療画像を用いた人工知能(AI)による新規診断・治療効果予測システムの構築に取り組んでいます。さらに近年急速に技術革新が起きているオルガノイド技術を応用し、マウス卵管上皮に様々な遺伝子導入をさせ予後不良な卵巣癌の発癌を再現することに成功し、現在投稿準備中です。
臨床研究としては、より低侵襲な手術を提供するセンチネルナビゲーション手術を目指したパイロット研究や、生まれながらに子宮のない、または若くして子宮摘出を余儀なくされた女性の機能再建術としての子宮移植の日本初の実施を目指しています。