広大OB田中太郎~リアルを語る~第4弾 「顔偏差値が低いです」

Q:顔偏差値が低いです。悔しい思いをすることも少なくないので整形して出直したいです。



A:まず最初に申し上げておきますが、整形手術は止めておきなさい。メスを入れるのがどうのという話じゃなく、仮に100万円近くカネ使ったところで、そうと言われないと分からないって程度にしか変化は期待できません。ワタシの周囲にいっぱいいます、カネをどぶに捨てて満足しているかわいそうな人たちが。「神様、どうかワタシにも美しいお顔を」と明治神宮で千円札投げ込むのと、効果は大差ないのです。

残念ながら認めざるを得ないのですが、世の中を秩序立てているものの一つに、美醜ってのがあるのは厳然として間違いない。要するにイケメンは、美人は、それだけで人生の特急券もらっているようなものだと。

学校時代の依怙贔屓から始まって恋愛経験、就職における面接の評価、そもそもお顔が条件になっている仕事もあるから、職業選択の範囲も広い。結婚も、交友関係も明らかに差がつきます。それを私は「お顔資本主義」と呼んでおりますがね。

生まれながらにして生きるための条件が違う、差がついている。腹立たしいのは分かりますが、それは仕方がないことだと受け入れなければなりません。お顔だけじゃないですよ。親の職業と収入、生まれ育った場所、入った学校、知り合った友達、ありとあらゆる偶然と必然によって、あなたの人生は変わってきます。ついている人もいればそうでない人もいる。気がついていないだけで、ひょっとしたらあなたもついている何かがあるのかも知れません。

そもそも大人になるまで生きながらえたのだから、その点では選ばれし人だとは思いませんか。これまで曲がりなりにもドロップアウトせずに済んでいるのだから、地獄の底でもがいている人からみたら、相当に恵まれている方じゃないですか。その上で、美人イケメンと差がついたなどとと嘆いたところで、人間が小さい小さい。

逆に考えてみましょう。

吉永小百合さんを唯一の例外として、顔偏差値は価値がどんどん下がっていく運命にあります。若いときに美人イケメンと持ち上げられた人たちも、歳とともにどんどん輝きを失っていきます。文字通り化けの皮が剝がれ落ちていくのです。その時に何が残るのか、考えるまでもないでしょう。

アリとキリギリスの寓話を持ち出すまでもなく、顔偏差値の高い人は、あなたのような苦労を知らずに生きてきたことは間違いない。他人から理解してもらう努力も、友達付き合いを大切にすることも、仕事をうまく進めるための様々な気遣いとかなんとかかんとか。苦労した分だけ、あなたの人間力は、確実に高い。そこには自信を持っていいはずです。

お顔以外にあなたの価値をあげてくれるものは世の中に数え切れないくらいあります。日本舞踊や能楽、武道などの和物は、共通してあなたの生き方と所作の美しさを作り上げてくれます。万巻の書に親しむことで、内面を磨き上げる教養を身につけることができます。世界の町並みをあるくことで、異文化への真の理解と尊敬の念が自然に生まれてきます。そんな、より高い自分を獲得する努力を放棄して、目尻がどうの、鼻の高さがどうのにこだわることって、かなりばかばかしいことです。

都内某所で、●●の女王というミスコンテストの受賞者を見かける機会がありました。よぉーくみると、顔偏差値なんてちっとも高くない。それでも全身から発せられるオーラは半端じゃなく、周囲を凍りつかせるのではと思わせるだけの「美しさ」が漂っていました。子どもの頃からバレエに取り組み、英国留学で教養を身につけているというプロフィールを後に見つけました。

美しい、とは後付けできるものだと、再認識しました。

あなたに足りないものは、自分を磨く努力です。お顔のせいにしている場合じゃありません。

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