広大OB田中太郎~リアルを語る~第14弾 「手土産ってなにを選んだらいいの」

Q. 手土産やお祝い選びが苦手です。何を選んだらいいのでしょうか

A.そうですね。特にこれから年度末にかけて、出張やら栄転やら退職やら、記念品やお土産が飛び交う時期になります。

何のために贈るのか、そこをはっきりさせていないと品選びは難しいですよ。あなたはそこが分かっていないのかも知れません。

贈り物の機能別に場合分けしてみましょう。

1 「いやぁ、会社のカネで出張してきて、大変だったけどいい目も見てきたんだよね、いつもありがとう」という出張エクスキューズ
2 「ご栄転おめでとうございます。お世話になったと同時に、これからもよろしくね」という自分マーキング
3 「先般は高いメシ食わせてもらってありがとうございます。一応、半返ししておきますよ」というマウンティング
4 「ほれ、こんなものあんたは知らないだろう」と共通の話題が乏しい相手に対する話のきっかけ
5 「手ぶらで行くのもなんだし、適当でいいんだけどね」という名刺の添え物

目的によって選ぶものがまったく違います。順を追って説明しましょう。

1 出張に行ってきたことが明確で、しかも職場(や家庭やその場にいる関係者)の頭数プラスアルファという数が問題になります。この場合は、全国的に知名度があって数が多いものにせねばなりません。まかり間違っても、地元で知る人ぞ知るレアものを苦労して手に入れても意味がありません。手をかけずに人数分に取り分けられる利便性が大切です。広島の場合、もみじまんじゅうが正解で、バッケンモーツアルトのからす麦クッキーは間違いです。生食用かきとか広島菜漬けとか、完璧にアホです。
 福岡なら「博多の女」、仙台なら「萩の月」、名古屋なら「ういろう」、札幌なら「白い恋人」、大阪なら「岩おこし」、京都なら「八つ橋」、鎌倉は「鳩サブレー」。要するにベタすぎるものを敢えて買うようにしましょう。

2 長く手元に残って使ってもらえるものであることがマストです。商品を通していつまでも思い出してもらうための贈り物です。そうすれば、栄転から帰任するときに、倍になって返ってくること、請け合いです。
 ではどんなものが長く使ってもらえるのか。正解は普段使いするもので、自分では買わない高級品です。予算1万円ならば、革のスリッパとかどうでしょうか。ボールペンやタオルなどもいいかもしれません。でもセーターとか万年筆はアウトです。1万円のセーターとか、ありがたみもクソもありません。もらった方が迷惑します。
 最悪なのは消え物です。見えなくなった瞬間にあなたのことも忘れ去られます。千疋屋で高いマンゴー買っていったところで、何の意味がありましょうや。

3 高いメシおごってもらうってことは、相手に「ワシの方が偉いんだよ」という立場を認めてしまうことを意味します。おごる方の目的はそこにあるのですから、術中にはまってはいけません。「いいゃ、あんたとワシは同等だからね」という気持ちを手土産に込めてお返しするのが、できる人間の行動です。
 この場合は、手土産は値段で決めます。しかもその値段が分かりやすくなくてはなりません。つまり手土産には通貨の機能が求められるのです。全国津々浦々で売られていて、しかも値段がはっきりしているモノ、ワタシのお薦めは虎屋のようかんです。
 虎屋のようかんにもいろいろバリエーションがありますが、間違っても「小型10本入り」とかは選んではいけません。選ぶべきは「大型ようかん」です。いろんな味がありますが、大型は1本5200円です。持つとずしりときます。このズシリの迫力が重要なのです。さらには2本以上だと杉箱に入ります。最大5本入りは、3万円。日持ちもしますから、立派に通貨として通用します。
 逆に、南青山のパティスリーでもったいぶって売っている数量限定の生チョコレートなんて、恐らく使ったカネの3分の1くらいにしか評価してくれないでしょう。

4 この場合は、値段はまったく関係ありません。「その手があったか」という驚き、「じつはかれこれしかじか」という説明が必要なものほど、話題が豊富になります。
 広島土産でワタシがいつも使うのは、もやしです。広島駅の地下にあるスーパーで、30円とかで売っているアレです。
 気がついている人が意外に少ないのですが、広島で売られている、細くて水分が少なくて土の香りがするもやしは、関東ではほとんど手に入りません。30円程度のもやしにこだわる作り手も客も少なく、算盤に合わないからなのでしょうが、東京で売られている太くて水分の多いもやしでは、おいしいお好み焼きはできません。しゃぶしゃぶ用の薄く切った豚肉をもやしの上に広げて蒸し、岩塩とコショウを振った簡単おかずも無理です。もらった人は、間違いなく「なんであんたは30円のものでどや顔しとるんね」と言うでしょう。そこから会話が生まれます。
 どうです、いいでしょう。こうしたレアもの、もっと考えると、お好み焼きもそうですね。お土産物屋に並んでいる冷凍物じゃないですよ。みっちゃんや八昌で焼いてもらったものを「お持ち帰り」として包んでもらい、その足で飛行機や新幹線に乗る。家や会社に着いた頃でもほんのり熱が残っている状態で、「ほれ、これが本物じゃ」と渡せば、レア度はマックスです。
 大阪なら「北極」のアイスキャンデー、名古屋なら「つけてみそかけてみそ」を3本セットで、仙台なら他県民には罰ゲームにしか思えない独特なニオイの「ほや」、札幌なら真っ黒で爆弾にしか見えない「でんすけスイカ」、熊本なら元祖ふりかけの「御飯の友」、頭を使って探す楽しみがあるのは、こういうお土産です。

5 適当でいいけど、何か、であれば頭を使うのも勿体ないですね。ならば、調達するのに便利な場所にあって、日持ちがするものを自分で決めておくことです。どうせどうでもいいものだから、相手にとってもどうでもいい。ならば、小分けになっていて、どのようにでも使え、好き嫌いの少ない干菓子系がいいでしょう。ワタシは帰郷するときはウエストの「リーフパイ」と決めています。だれからもよろこばれて、軽くて包みが小さい。ちょうどいいですね。
 広島だったら、「からす麦のクッキー」か、「レモンケーキ」ってところでしょうかね。「イカ天瀬戸内レモン」もいいのですが、箱に入っていないのが残念です。「はっさくゼリー」はかさばって重いのが難点です。

出産や進学お祝いに好適な、いまどきの品ってのもあります。アマゾンのギフトです。メールでお知らせするだけなので、手間も手数料も要らず、もらった人は何にでも使えます。割り勘も簡単です。ワタシは最近、遠隔地の知り合いへの送金にも使うようにしています。実態はほぼ現金なのですが、カネを送るような殺伐とした感じがなくって重宝します。

贈り物は、使ったカネ以上の何かが返ってくる、ここが選択のポイントであり、あなたのセンスがにじみ出てきます。普段からリサーチを怠らないようにしましょう。

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