失われた子どもたち―第二次世界大戦後のヨーロッパの家族再建

第二次世界大戦によって、ヨーロッパでは前例のないほど多くの家族が引き裂かれた。ナチ帝国の崩壊後、何百万人もの人々が、愛する家族を探して大陸を彷徨うことになった。他方で、この惨状を前にして、避難民の子どもたち、すなわち「失われた子どもたち」の救済活動が国際的に展開された。しかし著者ザーラは、膨大な一次史料を元に、子どもの救済活動のスローガンとなった「子どもの最善の利益」が、結局は国民主義的な観点から用いられ、国民主義に基づいて子どもと家族が処遇されたことを明らかにした。本書を通じて家族という普遍的な概念が、いかに時代や社会によって多様に理解されうる非普遍的なものなのかを理解すると同時に、人道的な活動もまた様々な政治文脈の中で展開されていることに気がつくだろう。
著者 |
監訳:三時眞貴子(広島大学:序章・第一章・第八章)・北村陽子(名古屋大学:第四章・第五章) |
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出版社 | みすず書房 |
出版年月 | 2019年12月19日 |
ISBN | 978-4-622-08868-4 |
値段 | 6,000円+税 |
種類 | 翻訳 |
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広島大学大学院人間社会科学研究科
三時 眞貴子
msan*hiroshima-u.ac.jp
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