転職が怖いという人は多いです。
転職にはリスクが伴うということは言うまでもなく、新しい職場で良好な人間関係が築けるのか、はたして自分の能力でやっていけるのか・・・など不安は尽きません。
ただ、なぜか「転職するリスク」についてはよく語られますが、「転職をしないリスク」についてあまり語られることはありません。そこで今回は、普段あまり触れられることのない「転職をしないリスク」について考えてみたいと思います。
まず、転職歴は少なければ少ないほど良いと思っている人が多いですが、その認識は間違っています。
これは実際に私が見た【Aさん】という方の事例です。
Aさんが転職活動で苦戦した理由としては、年齢的な問題もあるのですが、それ以外にも2つ考えられます。
1つ目は、転職タイミングが悪く「希少性」が下がってしまったことです。
転職市場における市場価値というのは、希少性が高い方が評価されます。
一般的に大手企業に勤めている人というのは、入社するまでに厳しい採用試験をクリアした訳ですので、優秀である可能性が高いと評価されやすいです。しかし、今回のケースでは早期退職で、「同じ会社」で「同じような年齢」で、さらには「同じような仕事」をしてきた人が数百名規模で一斉に転職サイトに登録する訳です。そのため活動を他の人よりも早くスタートして初期の段階で書類選考に応募できた人は、
と、人事から高評価を貰えて書類審査が通ったりしますが、次第に
などと、希少性が下がって反応が薄くなっていきます。今回のAさんのケースでは、普段から転職についての情報収集を行うなど、いつでも動ける準備をして、すぐに動いていれば結果は変わってきたかもしれません。
2つ目は、Aさんに転職経験が無かったことです。(これが今回のテーマで一番言いたかったことです。笑)
中途採用で候補者を見るポイントは色々ありますが、一番大切なのは「成果の再現性」。つまり、新しい会社でも能力を発揮して活躍できるかどうかです。
業務スキルの中には、自社でしか通用しないスキルと他社でも通用するスキルがありますが、同じ環境に10〜20年もいると、どうしても自社でしか通用しないスキル(社内政治や調整など)の割合が高くなっていく傾向があります。
40歳以上で1社でしか勤めたことのない人が、いくら面接の場でエピソードを交えて今までの実績をアピールをしても、これまでとは環境も何もかもが違う転職先で、過去に生み出した成果と同等の成果を本当に再現できるかどうかは未知数なので「それってウチに入社しても同じようにできるの?」と疑問を持たれ、その疑問が払拭できなければ不採用になってしまいます。
もしもAさんに転職経験があり、さらに転職先で活躍していれば成果の再現性の証明になるため企業の反応も良かったかもしれませんが、Aさんは転職経験が無いため、成果の再現性を担保することができず、書類選考や面接でお見送りになってしまっていたのです・・・。
いかがでしたでしょうか。
「転職する」ことにはリスクが伴いますが、長い目で見るとAさんの事例のように「転職をしない」こともリスクになります。
1社で定年まで勤め上げることが前提とされる終身雇用の時代はとっくに終わり、自らのキャリアを自らデザインしていく時代に突入しています。
新卒での就職活動は「ゴール」ではなく「スタート」地点です。就活生の皆さんはこのことを意識しながら長期的な視点で考え、自分の志向に合った会社を探してくださいね。応援してます!
(若旦那 オオハラ)