Vol.29 「フェニックス奨学金で進学できた」

名前: 香川 蒔音
所属: 統合生命科学研究科 博士課程前期2年 (生命環境総合科学プログラム)
浪人時代を経て
私は知的好奇心が旺盛で、勉強することも嫌いではなかったのですが、高校生の頃は受験勉強にあまり熱心に取り組めませんでした。その結果、現役で大学に合格することはできず、高校を卒業した後も大学進学の強い意志がないまま過ごしていました。しかし、周囲の方々の支えと勧めもあり、もう一度進学を目指そうと受験勉強を再開しました。
特に志望校も決まらないまま一人で勉強していた中で、広島大学のフェニックス奨学制度について父から聞きました。当時はお金のこともそこまで分かっていませんでしたが、家の経済状況が苦しいことは察していたため、お金の心配をせずに進学できることは、私にとっても家族にとっても助かると思いました。
浪人したことで学力も伸びたため、フェニックス奨学制度の申し込みに必要な入試の成績基準を満たすこともできると思い、広島大学を受験することに決めました。
フェニックス奨学金の充実した支援内容
フェニックス奨学制度では、入学金と授業料の全額免除に加え、月10万円の奨学金給付があります。
貸与型の奨学金は卒業後に返さなくてはいけませんが、フェニックス奨学金は給付型であるため、将来に借金をつくる心配がありません。このような充実した支援内容は、経済的な理由で進学を断念している学生やその家族に希望を与えてくれると思います。
また、大学卒業時に学力基準と家計基準を満たしていれば、大学院でも同じ内容の支援を継続して受けることができる点も魅力です。実際に私は大学院でも支援を受けることができ、在学中に振り込まれる奨学金を通帳で確認するたびに感謝の思いがあり、恵まれていることを実感しました。
奨学金がバランスよく学ぶきっかけに
在学中に支援を受け続けるためには、一定の成績基準を満たし続ける必要があります。この基準があったおかげで、私はあまり興味のない分野の授業にもより真剣に取り組むことができました。そして、そのことが今の研究生活の基礎力になっています。
専門性を高める前段階では特に、色々な分野を幅広く、バランスよく学ぶことが重要です。しかし、半ば強制されない限り、分野ごとに勉強量に偏りが出てしまいがちだと思います。消極的な言い方になりますが、フェニックス奨学制度の成績基準は勉学に駆り立てるきっかけとして、学生の研究の土台作りにも役立っていると言えます。
専門分野の勉強と研究
私は総合科学部総合科学科に入学し、2年次から生命科学プログラムを選択して専門的な勉強や実験実習に取り組みました。
フェニックス奨学金のおかげで、アルバイトに割く時間をレポートの作成や勉強に回すことができたため、実験結果を深く考察して内容の濃いレポートを作成できました。
また、学部3年の後期から、有機合成の研究室に入って研究を進めています。試薬を混ぜ合わせて反応させ、新たな化合物を合成する実験の日々は、うまくいかないことの方が多く、地味で単調なものです。
しかし、目的の化合物が合成できたとき、結果だけでなくプロセスそのものに意味があったことを実感します。
研究を通して、思考力や辛抱強さといった社会に出てからも重要な力も養うことができたと思います。

御礼
最後になりましたが、広島大学基金にご寄付してくださった方々、ならびに奨学金の手続きなど事務で支えてくださった方々に感謝します。皆さまの援助により大学進学の選択肢が広がり、大学院でも意欲的に研究に打ち込むことができました。
卒業後は広島で就職する予定なので、私も新しい環境で働きつつ、広島県や広島大学に貢献できればと思います。
本当にありがとうございました。
(2024年11月取材/基金室)