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(2018.1制定)
勅使川原真衣さんというコンサルタントがいます。組織構築、立て直しが専門とのことなのですが、何冊かある著書では、採用や人事で語られる「能力」について根本的な疑問を提示して、はっとさせられる(時に背筋が寒くなる)ことが多く、個人的には経営者・人事関係者にオススメしたい著者です。その指摘とは、ざっくり言うと、「能力評価」とは絶対的なものではなく、組織の中における相対的なものだというものです。
氏の教えの延長線上で、就活における能力評価について考えてみましょう。
あなたの評価される能力って何でしょうか。
日本経団連が定期的に新入社員に求める能力について調査をしています(最新は『採用と大学改革への期待に関するアンケート結果』 2022年1月18日)。特に期待する資質については「主体性」「チームワーク・リーダーシップ・協調性」「実行力」が、特に期待する能力としては「課題設定、問題解決能力」「論理的思考力」「創造力」が上位に挙げられています。これに、言わずもがなの「コミュニケーション力」を加えて、人物評価の重視項目だとされているようです。
こうした傾向については、就活のいろいろな場面で登場するキーワードで、みなさんもすでにご存じのことかと思います。ならばと、「コミュニケーション能力があって、リーダーシップを発揮する実績があって、しかも困難にへこたれない実行力があるワタシ」なアピールをするエピソードを皆が作り上げてしまうのですね。
それはそれで正しい発想ではあるのですが、間違ってしまうポイントが見えてきます。
まず第一点は、あなた一人が期待される資質、能力すべてを兼ね備えている必要なんてまるでないってことです。
私の会社員人生40年の経験からして、そんなスーパーマン、ごくごくまれにしか出会ったことありません。そこを勘違いして、すべてを網羅しようと、つまらないエピソードを羅列してしまって、実に薄っぺらな、人間性が伝わらないESをしょっちゅう見かけます。
企業の(公務でもなんでも同じですが)競争力は、組織、つまり人と人の組み合わせで決まります。経営者や人事担当者が重視する資質や能力ってのは、そのピースとしてどんな能力が必要なのかを指摘しているに過ぎません。将棋の駒やチームスポーツの選手と同じです。何かに秀でたスタッフを適材適所で組み合わせてこそ強力なチームが出来上がるのです。
あなたが自信を持っている能力、他人とは違う何か、「ひとつだけ挙げるとしたら何か」からスタートしてみてください。https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/004_kekka.pdf
次に、能力や資質は、その組織のカルチャーによって評価のポイントが変わるということです。それぞれの組織のカルチャーにどっぷりつかっている経営者、人事担当者は、逆に気づかないものです。
たとえば主体性。大きな組織になればなるほど、組織全体の目標を見極めた上で、それに合わせた主体性が求められます。営業の仕事なら取引先のニーズに主体的に向き合えるかがカギですし、スタートアップなら試行錯誤の中から正解を見つけていく主体性が重視されるでしょう。「そんなこと自分で考えろ」という主体性もあれば、「余計なことは考えず求められたことをとことん極めろ」という主体性もあります。
コミュニケーション力は、もっとも曖昧模糊としています。「コミュニケーション力って?」という問いには100人から100通りの答えが返ってく来てもおかしくありません。業種、職種、企業カルチャー、肩書き、性格によって認識は違うものです。それはプレゼン力なのか、語学力なのか、トーク力か、傾聴力か。異文化理解、教養、身体表現、専門知識、、、何でも正しく、「それって何?」という問いに明確に説得力ある一般的な答えはないのです。
このように、能力や資質のベースは企業や組織のカルチャーによってまるで違います。人によってあなたに対する評価が真逆な場合だって当然あります。それは就活生には知りようもない部分なので、評価されるかどうかは運としか言いようがないのが就活の現実です。
あなたができることは、自分が持ち合わせている能力や資質を正しくアピールすることで、そこがすべてだと言ってもいいのですが、それは何かが問題です。
面接では必ず学生生活のエピソードを問われます。あなたはどう考えたか、どう行動したか、何を感じ、学んだかをしつこいほど掘り下げていって、あなたの能力や資質を見極めようとするのです。自分にウソをついたエピソードは、その時点で間違いなく見抜かれてしまいます。
ポイントはエピソードの内容はあなた自身を自信を持ってアピールするものなら何だっていいのです。「主体性」や「問題解決能力」「リーダーシップ」というキーワードに囚われているから、自分にその実感がないにもかかわらず、「サークル活動でリーダーシップを発揮した」とか「バイトで直面した問題をどう解決したか」とか、どこかで目にしたような話のオンパレードになるのです。読まされ聞かされる側は、本音ではうんざりでしょう。
日本経団連の調査でも、ちゃんと見ると「特に期待する」とあります。「特に」だから重視はしているが限定しているわけじゃないのです。
採用側の視点は、すべての就活生に同じものを求めているわけではないこと、なんとなくお分かりいただけるかと思います。
あなたはどんな人なのか、落ち着いて振り返ってみてください。これってネガティブと思われるのじゃないかという点が浮かび上がるかも知れませんが、心配はご無用。モノは言いようです。
チームワークが苦手、は、任された仕事は最後まで責任持ってやり遂げる力です。問題解決能力って一面ではそういうことです。
主体性を持てない、は、他人の求めに対応できる柔軟性です。
リーダーシップを発揮できない、は、組織の一員としてチームを支える役割を果たせる組織順応力ってことです。
逆に、
好奇心が旺盛、は、移り気で最後までやり遂げることが苦手
リーダーシップを発揮できる、は、組織の一員になったときに周囲に迷惑をかける
主体性がある、は、自分の考えに固執しがち
というネガティブポイントでもあります。
どんな個性も切りようによってプラスにもマイナスにもなります。本当のあなたの強みは何か、どんなスタイルで物事に向かい合えるのか、雑音に惑わされることなく、ウソのない最良のアピールのポイントを見つけることが、最良の結果を生み出す道だと考えてください。
あとは出会いの運です。これだけは、だれにもどうしようもありません。
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