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(2018.1制定)
就職活動を始めると、多くの学生が一度は「自分に向いている仕事がわからない」と感じます。
自分の強みがわからない。
何がやりたいのかわからない。
どの職種を選べばよいのかわからない。
面接で語れるような特別な経験もない。
そう感じると、「とりあえず職種から考えよう」とする人も多いと思います。
「営業は向いているのか」
「マーケティングは面白そう」
「人事は人と関われそう」
「企画職に憧れる」
もちろん、職種名で仕事を理解することは大切です。
企業の募集要項も「営業職」「マーケティング職」「人事職」「企画職」「エンジニア職」など、名詞で整理されています。
しかし、自己分析で本当に大切なのは、最初から職種名を決めることではありません。
大切なのは、自分がどのような行動に前向きになれる人間なのかを知ることです。
つまり、仕事を「名詞」ではなく「動詞」で見ることです。
たとえば「営業職」と聞くと、どのようなイメージを持つでしょうか。
「お客様に商品を売る仕事」
「ノルマがある仕事」
「コミュニケーション力が必要な仕事」
「外回りが多い仕事」
このようなイメージを持つ人が多いかもしれません。
しかし、同じ営業職でも、実際の仕事内容は会社によって大きく異なります。
ある営業は、新規顧客に電話をかけ続ける仕事かもしれません。
ある営業は、既存顧客と長期的な関係を築く仕事かもしれません。
ある営業は、技術部門と連携して提案書を作る仕事かもしれません。
ある営業は、海外の顧客と英語で交渉する仕事かもしれません。
すべて「営業」という同じ名詞で表現されますが、日々行っている動作はまったく違います。
だからこそ、「営業が向いているかどうか」と大きく考えるだけでは不十分です。
本来は、次のように考えるべきです。
「初対面の人に連絡を取ることが苦にならないか」
「相手の課題を聞き出すことが好きか」
「提案内容を考えることに面白さを感じるか」
「断られても改善してもう一度挑戦できるか」
「社内外の人を巻き込んで物事を進めることができるか」
このように、仕事を動詞に分解すると、自分に合うかどうかが見えやすくなります。
就活生に人気の職種の一つに、マーケティングがあります。
「商品企画に関わりたい」
「広告やSNSの仕事をしてみたい」
「ブランドづくりに携わりたい」
「世の中に新しい価値を届けたい」
このような理由から、マーケティング職に興味を持つ学生は少なくありません。
しかし、「マーケティングがしたい」と言うだけでは、実はまだ少し曖昧です。
マーケティングという言葉の中には、さまざまな仕事が含まれています。
市場を調べる。
顧客の声を集める。
データを分析する。
競合の商品を比較する。
広告の効果を検証する。
商品のコンセプトを考える。
社内に企画を提案する。
販売戦略を立てる。
クリエイティブ制作会社と調整する。
これらはすべてマーケティングの一部です。
しかし、「データを分析すること」が好きな人と、「人に話を聞いて課題を見つけること」が好きな人では、同じマーケティング職でも向いている業務が違います。
また、商品のアイデアを考えることが好きな人もいれば、関係者を巻き込みながら企画を実行することにやりがいを感じる人もいます。
つまり大切なのは、
「マーケティングという職種名に惹かれているのか」ではなく、
マーケティングの中にあるどの行動に興味があるのかを考えることです。
自己分析というと、「自分は何者なのか」を明確にしなければならないように感じるかもしれません。
しかし、就活の初期段階で、自分のやりたい仕事や将来像がはっきりしていないのは自然なことです。
むしろ、最初から「自分は営業に向いている」「自分はマーケティングがやりたい」と決めつけすぎると、選択肢を狭めてしまうこともあります。
自己分析で大切なのは、かっこいい職種名を探すことではありません。
自分がどのような行動をしているときに前向きになれるのか。
どのような作業なら苦にならず続けられるのか。
どのような場面で人から評価されやすいのか。
そこを見つけることです。
仕事は、肩書きではなく、毎日の行動でできています。
人に連絡する。
話を聞く。
資料を作る。
仮説を立てる。
上司に相談する。
顧客に提案する。
ミスを修正する。
関係者と調整する。
期限までにやり切る。
仕事は、名詞ではなく動詞の集合体です。
だからこそ、自分に合う仕事を探すには、職種名を見るだけではなく、
その仕事で毎日どのような動作を繰り返すのかを確認する必要があります。
就職活動では、次のような問いを自分に投げかけてみるとよいと思います。
「自分は、人と話すことにエネルギーを使うタイプか、得るタイプか」
「初対面の人に連絡することに抵抗はあるか」
「一人で深く考える時間が好きか」
「正解のない問題を考えることが好きか」
「人の間に立って調整することができるか」
「成果が数字で見える仕事にやりがいを感じるか」
「長期的に信頼関係を築く仕事が好きか」
「新しい仕組みを作ることに興味があるか」
これらの問いに答えることで、自分が好む「動詞」が見えてきます。
たとえば、
「人の話を聞く」
「課題を整理する」
「提案する」
「分析する」
「改善する」
「調整する」
「教える」
「仕組みを作る」
「交渉する」
「支える」
このような動詞の中で、自分が自然にできること、やっていて苦にならないこと、成長したいと思えることを見つけることが大切です。
この考え方は、自己分析だけでなく面接にも役立ちます。
たとえば、面接で
「営業職に興味があります」
とだけ話すと、少し抽象的です。
一方で、次のように話すと、具体性が出ます。
「私は、人の話を聞いて課題を整理し、それに対して提案することにやりがいを感じます。学生時代のアルバイトでも、お客様の要望を聞きながら最適な商品を提案することが好きでした。そのため、顧客と長期的に関係を築きながら課題解決を行う営業職に興味があります。」
このように話すと、「なぜ営業なのか」が伝わりやすくなります。
マーケティングでも同じです。
「マーケティングに興味があります」ではなく、
「私は、顧客の行動を分析し、なぜその商品が選ばれるのかを考えることに興味があります。データや顧客の声をもとに仮説を立て、より良い販売方法や商品企画につなげる仕事に挑戦したいです。」
と伝えた方が、説得力があります。
職種名ではなく、具体的な行動で語れる人は、自己理解が深い印象を与えます。
企業研究をするときも、職種名だけを見るのではなく、実際に社員が何をしているのかを見ることが重要です。
説明会やOB・OG訪問では、次のような質問をしてみるとよいです。
「一日の中で、どのような業務に一番時間を使っていますか」
「社内外の誰とやり取りすることが多いですか」
「この仕事で一番多く行う作業は何ですか」
「成果を出す人は、どのような行動をしている人ですか」
「入社1年目は、具体的にどのような仕事を任されますか」
「この仕事で大変な瞬間は、どのような場面ですか」
このような質問をすると、仕事の実態が見えやすくなります。
「営業職です」
「企画職です」
「マーケティング職です」
という説明だけではなく、その中で社員が毎日何をしているのかを知ることが、仕事選びの精度を高めます。
就職活動では、つい響きの良い職種名に惹かれます。
企画、マーケティング、コンサル、人事、海外事業、事業開発。
どれも魅力的に聞こえます。
しかし、仕事はイメージだけでは続きません。
大切なのは、その仕事に含まれる日々の行動を、自分が続けられるかどうかです。
人に会い続ける。
話を聞き続ける。
文章を書き続ける。
考え続ける。
改善し続ける。
交渉し続ける。
調整し続ける。
学び続ける。
その動詞を毎日繰り返しても、自分は前向きに取り組めるのか。
ここまで考えると、仕事選びはかなり現実的になります。
自分に向いている仕事がわからないと感じるのは、決して珍しいことではありません。
むしろ、最初から明確に「自分はこの仕事に向いている」と言い切れる人の方が少ないと思います。
だからこそ、就職活動では
「どの職種に就きたいか」だけでなく、
「自分はどのような行動を仕事にしたいのか」
を考えてみてください。
営業、マーケティング、人事、企画、エンジニア。
こうした名詞の奥には、必ず具体的な行動があります。
顧客と話す。
課題を聞く。
データを分析する。
資料を作る。
人を巻き込む。
仕組みを整える。
改善案を出す。
交渉する。
支える。
名詞で仕事を選ぶと、イメージで判断してしまいます。
動詞で仕事を選ぶと、日々の働き方が見えてきます。
自分に合う仕事とは、かっこいい職種名の仕事ではありません。
自分が前向きに繰り返せる行動が多く含まれている仕事です。
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