メタリックゴールドのホンダZ

私の車はメタリックゴールドのホンダZ!

呉の自宅から千田町の工学部校舎へ、朝はマツダに通う社員の車で大渋滞!同級生の三菱ギャランの赤い車には負けてない!小さいながらも、かっこいいスポーツタイプ、夜になると夢を誘うインパネの輝き、広島に出るともっぱら広島女子大の彼女(今の奥さん)を誘い車でのデート。

大学2年の夏休み、車での旅行を計画!まずは資金作り、地元デパート福屋で売り子、大型電気店第一産業(現エディオン)での扇風機の運びだし、夏休みの前半はバイト三昧。資金は出来た。ホンダZでかっこよく、いざ旅に出よう。フェリー使って北海道!のつもりが人伝えに韓国にフェリーで行けるらしいとの噂!えー外国だろー、調べてみると、就航間もない関釜フェリーで行ける、北海道に行くより安い、バイトで稼いだお金で悠々行ける。

そうと決めたら、レッツゴー!同級生のT君を道連れに、でもT君は車の免許とりたて?構うもんか!下関の港で日本の夕日を浴びながらプサン行きのフェリーに乗船。

勢い込んで来たもののどうなることやら、ちょっと不安を抱えて始まった旅。短い船旅で韓国に入り、プサン沖に停泊、船内で一夜を過ごし、早朝上陸、金色のホンダZが朝日に輝き絶好調!早速プサンのにぎやかな海水浴場でひと泳ぎ、そこに落とし穴、何も考えず食べたアイスクリームが当り、その夜は便器を抱えてうなり声をあげながらの一夜。

翌朝、宿屋の主人にお世話になり、日本語を話せるお医者さんからお尻に注射。助かりました!すぐに回復して、次の目的地に出発、海水浴場で知り合った韓国の学生から紹介されたソウルのホテルへと韓国国民、ご自慢の高速1号線をひた走り、時々眠くなるほどまっすぐな道、やっとたどり着いたソウル。ここでも道行く人たちが僕たちを見ている。二人はスター気分、でも、僕たちじゃない。ホンダZが注目の的、駐車すると人だかり、なんだ、この車は!トヨタのセダンしか見たことがない人たち、興味津々、ボンネットを開けて見せて、運転させて、と大人気!これはすごい車で来たものだと得意満面。その先はソウルに住む実業家の日本人A氏と出会い、観光スポットに一緒に出かけ、A氏知人の自宅では温かいもてなしを受け、初めて韓国冷麺をいただく等々。

これら予想もしないいろいろな出来事は若さに加え、一緒に旅したホンダZの恩恵かあったことは間違いなく、今では夢のような、ただひと夏の経験でした。

(森田 貴彦)


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