Life goes on.

社会人になって7年目の夏の日、たまたま友人の付き添いで行った会場での出会いだった。転勤先で目まぐるしく日々は過ぎ、充実しているようにも思えたけど、どこかで空っぽな空間ができ始めてもいた。

太陽が照りつける中、丸いフォルムで愛嬌たっぷりに佇む黒いLIFEは、その日から私の相棒になった。とはいえ、急な思いつきでのお買い物、その段階で私は運転というものをしたことがなかったのだ。本当に今思うと、その時の判断は若気の大冒険だ。

そこから、友人たちにお願いして助手席で少しずつ特訓してもらい、最初は雨が降り始めただけで、センターラインが怖くなり、泣きながら代わってもらう情けないことも。

しかし、次の転勤を告げられる頃には、苦手とはいえ、一通り自分でこなせるようになっていた。全く知らない土地で引っ越し日に少し遠くの大型専門店へ到着した時には、LIFEが本当の相棒になっていた。怖がりの私はいつも、出かける前に今日もお互い無傷で帰ろうね。と呼びかけて運転を開始していた。

そこから、何1000キロの旅を一緒にしただろう。遠い山の上の壮大なカルストが見たくて、また海が続く道を窓を開けて走りたくて、そして世界遺産のある秘境の地を目指して。仕事で疲れた時は、夕日が綺麗なスポットにいって、ただただ運転席であなたに守られて日が暮れるのを見るだけで次の日頑張ろうって思えた。

その次の転勤地では、駐車場の問題があり、泣く泣く手放したLIFEは、今の両親の知り合いがきっと大切にしてくれているだろう。最後まで安全に私の世界を広げ続けてくれ、たくさんの思い出をくれた。

いつかまた一緒に冒険しようね。私の相棒に感謝の気持ちを込めてこの文書を贈ります。

(板谷絵里 法学部 2000年卒 サービス業)


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