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(2018.1制定)
抱っこや授乳、肌のふれあい、アイコンタクトなど、生まれたてのあかちゃんと大人とのコミュニケーションは、五感を総動員しておこなわれる。
言葉をつかうコミュニケーションがとれるようになるまでは、表情やご機嫌、声のトーンなどから、大人が想像力を働かせてあかちゃんのメッセージを読み取るほかない。
決して一方通行のコミュニケーションではないけれど、言葉の通じないもどかしさは、どこかにある。
そんな時は、きっと絵本が力を貸してくれる。
私は、授乳の間隔が安定し、子どもの生活リズムが夜型から昼型に逆転、昼間に起きている時間が長くなってきた生後半年ぐらいから、読み聞かせをはじめた。
ちなみに、お母さんのおなかの中にいる時のあかちゃんは、昼間に活動するとお母さんの体に負担をかけてしまうのでほぼ寝て過ごし、お母さんが体を休めている夜に活動する仕組みになっているのだとか。
けなげな姿に心をうたれる。
そんな経緯で、生後しばらくは昼夜が逆転したリズムが続いているが、半年ぐらいたつと徐々に体のリズムが整い、昼間の活動時間が長くなってくる。夜も長めに寝るようになってくるので、お母さんの体も少しずつ楽になる。日中子どもが起きている間に「絵本でも読んでみようかな」という余裕がでてくるのがこのぐらいの時期だった。
目の前にいる我が子は、まだ言葉をしゃべることができないけれど、絵や言葉に反応して、きゃっきゃきゃっきゃと声をたて、手足をバタバタさせて喜んで聞いてくれる。絵本を介してコミュニケーションが成り立っていることに、大きな感動を覚える。子どもに向かって読んでいるのだけれど、実は大人の方が喜びをもらっている。絵本の読み聞かせはそんな時間だった。
長男は小学校1年生だが、今でも寝る前には「今日は絵本読んでもらえる?」と必ず聞いてくる。日中バタバタしていて布団に入るのが遅くなり「時間がないから今日は無理だね」と言いくるめて消灯すると、数秒後には「眠れない」としくしく泣きながら起きてくるのが定番だ。「お母さんが死んでしまったらどうしたらいいのかばかり考えて、眠れない」というのがいつもの理由だ。
身内の死を恐れるようになるのは、姉もこの時期からだったし、私もそうだったと記憶している。絵本を読んでもらわないと、落ち着いて眠ることができないらしい。そして、絵本を読んでもらうと、安心した顔ですっと眠りにつくのだ。
絵本は、子どもたちの心にとって、大切な存在だ。
※外部サイトにリンクしています。
絵本選びに最強のサイト。年齢別やテーマ別に絵本が紹介されており、ためしよみもできる。
『じゃあじゃあびりびり』まつい のりこ 偕成社
はじめての読み聞かせに。
じどうしゃ ぶーぶーぶー
みず じゃあじゃあじゃあ
あかちゃんが大好きなオノマトペだらけのシンプルな絵本。
子どもの隣に寝転がって、あおむけになって読むのが私の定番だった。子どもも、まだ寝がえりができずあおむけに寝ているので、同じ姿勢で。
繰り返し繰り返し、何度読んでも、我が子は手足をバタバタさせ、声をたてて笑いながら、夢中になって聞いていた。
そして母も、その笑い声が嬉しくて、いつまでも読んだ。
まだ言葉を話すことができないあかちゃんと、心でつながることができる素晴らしい本。
『おつきさまこんばんわ』林 明子 福音館書店
1歳ごろから食い入るように読んだ絵本。
くもさんがおつきさまをかくしてしまい「だめだめくもさん」というシーンが子どものお気に入り。きっと「おつきさま」や「くもさん」と一緒に、ページの中に入り込んでいたんじゃないかな。
林明子さんの絵本にはたくさんお世話になった。やさしい表情の登場人物、心あたたまるストーリー。「おでかけのまえに」や「はじめてのおつかい」、「こんとあき」なども思い出の絵本。
『ちょっとだけ』瀧村 有子/鈴木 永子 福音館書店
きょうだいができたら、上の子の読み聞かせに。
なっちゃんのおうちに、あかちゃんがやってくる。
おねえちゃんになった、とてもけなげな なっちゃんは、いろんなことをがんばって「ちょっとだけ」できることが増えていく。
でも、、、、
最後のシーンは、何度読んでも号泣してしまい、いつも読み聞かせにならない。
おにいちゃん、おねえちゃんになってがんばっているお子さんに、ぜひ読んであげてほしい絵本。私は、二人目のお子さんの誕生祝いに、いつもこの絵本を贈ることにしている。自分がそうしてこの絵本と出会ったように。
『いやいやえん』中川 李枝子/大村 百合子 福音館書店
そろそろ長めのお話を聞くことができるようになって、絵本からの卒業を意識し始めたら。
文字ばかりの本の雰囲気に、気が向かない様子の我が子。めげずに何度もけしかけ「しょうがないなあ、今日はこれでいいよ」と言わせたが勝ち。読み始めるとあっという間にストーリーに引き込まれ、「今日もいやいやえん、絶対読んでね」という展開に持ち込んだ。
ちゅーりっぷほいくえんにかよう、いたずらっ子のしげるを中心にした、7編からなる童話集。
言わずと知れたぐりとぐらの著者、中川李枝子さんと、妹大村百合子さんのデビュー作。中川さんが保母として働きながら執筆されたとあって、しげるの行動すべてに、元保育園児の子どもたちから共感の嵐。普段は素知らぬ顔で一人本を読んでいる小4の娘が、この本を読むときだけはすっ飛んできた。
しげるの、保育園でのなにげない日常の世界から、気づかない間にファンタジーの世界に飛び、またいつの間にかしげるの日常に。そんないったりきたりも魅力の一つ。
本屋でこどもと一緒に絵本を選ぶのも楽しいし、図書館を利用してみるのもよい。お散歩がてら図書館に本を返却し、また新しい本を借りて寄り道しながら帰ってくる。それだけで、いい一日を過ごせたなあと、幸せな気分になる。
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