冬休みに子どもと読みたい【きょうの育児的 絵本特集】Vol.2

しましまぐるぐる

しましまぐるぐる

「しましまぐるぐる」(柏原晃夫(かっしー) 学研 税込968円) 

赤、白、黒などハッキリとした色が、しましま模様やぐるぐる模様で描かれています。

未だ視力が発達しておらずボヤーっとしか見えていないであろう乳幼児の我が子に見せたところ、思わず手を伸ばし触ろうとする反応を見せました。

各ページが分厚めでヨレにくく、つるつるした質感なのでヨダレまみれにされても手入れがし易いところも良いですね。

これから目にするであろうスイカや魚、ヘビ等も登場し、可愛らしいデザインの一冊です。

対象年齢:0歳から

(Gorilla エンタメ会社勤務 2015年教育学部卒)

このあと どうしちゃおう

このあと どうしちゃおう

「このあと どうしちゃおう」(ヨシタケシンスケ ブロンズ新社 税込1,540円)

大好きなおじいちゃんが亡くなってしまうところから始まるストーリー。児童書ではタブーとされそうな「死」というテーマが絵本に描かれていることで話題になりました。ほっこりする、やさしいタッチで死後のことが綴られます。絵もかわいくて、まるで死後の世界を案内するガイドブックのようで細部まで読み尽くしたくなる作品です。

対象年齢:4歳から

(Y.K 出版社勤務 2001年文学部卒)

ダットさん

ダットさん

「ダットさん」(こもり まこと 教育画劇 税込1,100円)

クルマを擬人化した絵本では「しょうぼうじどうしゃじぷた」などの名作がありますが、この「ダットさん」の特徴は60~70年代の日本の名車の実際の愛称がそのままキャラクターの呼び名になっていること。

子供に親しみやすく大人にとっては懐かしい。どちらからも感情移入できて、盛り上がること間違いなし…というのはクルマ好きである私の個人的な見解かもしれませんが(笑)、我が家の場合はそうでした。

クルマには文化・経済・技術など時代の様々な要素が反映されていますから、子供が大きくなってからも共通の話題であるクルマを切り口に、今の社会について話し合ったりできるものいいなと感じています。
絵もとてもきれいで、おすすめです。

対象年齢:3・4歳から

(中佐昭夫 ナフ・アーキテクトアンドデザイン 1995年工学部第四類(建設系)卒)

もこもこもこ/とこちゃんはどこ

もこもこもこ

「もこもこもこ」(谷川 俊太郎 文研出版 税込1,430円)

初版は1977年、40年以上にも亘って出版され続けている超ロングセラー。作者は詩人で『ピーナッツ』の翻訳者、数多くの外国絵本の翻訳など、とにかく多作で知られる谷川俊太郎。

まったいらな地平からキノコのような生き物が2つ生えてきて、片方がそれを食べ、おできができて、大爆発、元のまったいらな地平に戻る。言葉は「もぐもぐ」「ぽろり」「ギラギラ」と最小限の擬音語だけ。極端に単純化されている絵で30ページ、全見開き構成。

この物語は何の隠喩なのか。生命の輪廻か、宇宙創成か、人類の歴史か。シンプル極まりないストーリーだけに、森羅万象とシンクロさせて読むことができる。この絵本は、読み聞かせるオトナの想像力が試される、じつに奥深い世界観で出来上がっているからこそ、時代を経ても古びることがない。

さて、これを読む子供は何を想像しているのだろうか。そうした会話も面白い。

対象年齢:2歳から小学校低学年まで(今年、小型判も出版されたが、ぜひとも大きな判で)

とこちゃんはどこ

「とこちゃんはどこ」(松岡 享子 作 / 加古 里子 絵 福音館書店 税込1,100円)

ここぞとばかりに描きこまれた多くのモノから「正解」を探す「絵探し」は絵本の1ジャンルとして、さまざまな作品が出版されている。まず思いつくのは「ウォーリーをさがせ」だが、これが日本で出版されたのは1988年。その20年も前に絵探しの作品を数多く手がけていたのが、加古里子。共通しているのは、昭和の雰囲気満載で(というか昭和の作品だし)素朴なタッチ。企業の研究者出身らしく、描きこまれたひとつひとつのモノのユニークさにも特徴がある。

代表作とされるのは「からすのパン屋さん」であるが、絵探しの楽しみがより多いのが「とこちゃんはどこ」。

いつも親の目を盗んで勝手に出歩くとこちゃんが、動物園やデパートや海水浴場に潜り込む。作中のパパママと一緒になって、本を手にした子供も人混みをうろつき、さまざまな発見をしながら時間を過ごすことになる。

対象年齢:4歳から6歳まで

(チノ 出版社と大学勤務 1985年総合科学部卒)

おしりたんていシリーズ/あらしのよるに/100かいだてのいえシリーズ

おしりたんていシリーズ

おしりたんていシリーズ(トロル ポプラ社 税込1,430円)

おしりの形をした顔のメインキャラクター「おしりたんてい」が、できの悪い?助手のブラウンとともに、数々の事件を解決するストーリー。犯人を追い詰めると、「失礼こかせていただきます」の決め台詞とともに、強烈なおならを顔からぶっ放ち、味方もろとも全滅させる。

「おしり」「おなら」「くさい」。最大の敵の「かいとうU」の頭はうんちの形。子供の大好物のワードばかりで、食いつかないわけがない。事件も本格的で、謎解きも本気で楽しめる。

「おわりよければワンだふる」と、マルチーズ署長の声で大人が読み終えることができれば、子供の人気者になれること間違いなし。

少し大きくなったお子さん向けには読み物もあり、いつまでたってもおしりやおならが大好きな子供のこと、長く楽しむことができる。

対象年齢:3歳から

あらしのよるに

「あらしのよるに」(きむらゆういち 講談社 税込1,540円)

あらしのよる、真っ暗闇の小屋で出会った、オオカミのガブとヤギのメイの友情物語。

全5巻、ドキドキハラハラの展開が続き、読んでいる親もつい続きが読みたくなるので、冬休みの夜におススメしたい作品。

最終話では、まさかの展開に、「もうこの続きないんだっけ」と思わず子どもと顔を見合わせた。

食う側のオオカミと食われる側のヤギの究極の友情、生きることの厳しさなど、心の深いところにずしりと突き刺さる名作。

対象年齢:小学校低学年から

100かいだてのいえシリーズ

100かいだてのいえシリーズ(いわいとしお 偕成社 税込1,320円)

ページを縦にめくり、主人公のトチくんが100かいだての家を上へ上へと登っていく様子を一緒に楽しむのが印象的な絵本。

フロアごとにいろんな生き物が住んでいて、ページをめくると「さあ、つぎのかいには だれがすんでいるのでしょう」という決まり文句が登場する。毎日読んでいると、親は少し飽きてきたりするのだが、子どもたちはまったく飽きることなく、姉弟で「テントウムシ!」「ミツバチ!」と競い合うように当てっこし、毎日新しい出会いを楽しんでいるようだった。

子どもたちは、大人とは違って想像の世界で生きているんだなあということを、この本で実感した。

「もりの」「そらの」「うみの」などがあり、いろんな世界を楽しむことができる。

対象年齢:3歳から

(パンジー田中 大学勤務 1998年文学部卒)

<お問い合わせ先>
広島大学東京オフィス
TEL:03-6206-7390
E-Mail:tokyo(AT)office.hiroshima-u.ac.jp ※(AT)は半角@に変換して送信してください。


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